また、世界とのつながりが乏しいことに加え、日本の教育環境には独特の難しさがあります。今の若い世代になると大学卒以上の親も増えているため、「先生」という存在が、昔のような尊敬される立場では必ずしもなくなってきています。
しかし、東南アジアの先生は、一般の人よりも高学歴の人がまだまだ多い。インドでは世界でもトップレベルのインド工科大学を卒業したような人がKUMONの先生に応募してきてくれます。このような優秀な先生が増えてきており、子どもたちの意欲を引き出し、成果を出してくれて、ここ1~2年で教室数も拡大しています。
――世界とのつながりに対する危機感が、日本の若者には薄いように感じられます。
日本の若者が冷めているのは、今は世界とつながらなくても暮らしていけるからです。しかしこのまま放っておくと、日本はもっともっと貧しくなっていくように思えます。日本は優秀な子どもが多い一方で、途中で英語を嫌いになったりしてしまう。そこを変えていかなくてはいけないと思います。東南アジアの子どもたちは、「これから上がっていこう、伸びていこう、成長しよう」と本当に思っていますし、実際に伸びていっている実感も持っています。
フィリピンのある地域には、ゴミ集積所の地域の中にKUMONの教室があります。そこに通っている子どもたちのやる気がすごいのです。「そこから抜け出そう」と夢見ているのです。KUMONは鉛筆と消しゴムさえあればできますから、みんなそこで勉強しているのですが、自分の現在の学年よりも5学年先、6学年先の教材に取り組んでいます。そして、勉強ができなかった子どもがなんとかできるようになったり、中には本当にすごい子が出てきたりしています。そんな子どもたちの姿を見ていると、私たち社員も「自分たちがやっていることは間違ってない」と確信が持てるのです。仕事の現場で、自分たちの仕事に対する確信が深まるのは、KUMONの強みだと思います。
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