高まる教育熱!公文、東南アジア躍進の秘密 国境・人種・世代を超えて、自然に広がる”仕掛け”

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 1954年に公文公が息子の毅のために手作りした算数の教材から始まった「公文」は、今では世界48の国と地域に暮らす420万人以上の子どもたちを抱えるまでに拡大し、「KUMON」の名で世界中に知られている。
 とりわけ近年では、東南アジアにおける伸びが顕著だ。子どもの教育に投資したいと考える熱心な親が増えているからである。ではなぜ、そのような親が増えているのか。経済成長に下支えされた親の収入増だけではない、国境・人種・世代を超えた世界規模のクチコミの力が働いている。
 アジア・オセアニア公文の北尾健一代表取締役社長に話を聞いた――。

学力で将来を手に入れたい、アジアの教育熱が追い風

――東南アジアにおけるKUMONへの需要の状況についてお聞かせください。

国ごとに異なるので、順にお答えします。まず、シンガポールですが、教育環境は東京と似ていると感じています。子どもの教育に対して熱心な親がとても多いのです。シンガポールでは小学6年生のときに全員が受験する一斉試験があります。その結果が、すでに大学に進学できるかの最初のふるいとなります。小学6年生の子どもを持つ親たちの会話は、子どものテストの点数やそれに応じて狙う中学校の話題で持ち切り。子ども以上に親がピリピリするそうです。ですから、シンガポールではその試験に備えるため、KUMONに幼児期から子どもを入会させる親が多いのです。幼児期から入会して、熱心な子どもは小学3~4年生まで続け、小学校高学年のレベルの問題まで解けるようになる。さらに、試験直前には進学塾にも行くという力の入れようです。

これは東南アジアのほかの国とはまったく状況が異なります。しかし、東南アジア全体で共通していることは、国全体で伸びていこうという意欲が強いこと。日本でいうと昭和30年代ごろの雰囲気でしょうか。大学進学率は高くない一方で、大学まで進学できればいい将来を手に入れることができると信じている。そして、そのことが国の発展に寄与するとも。つまり、子どもの成長が国の成長につながっていると考えられているのです。ですから、KUMONの先生も、子どもたちを伸ばすことで、国に貢献しているという意識を持って仕事をしています。

日本では、中には親に言われて教室に通っている子もいます。しかしアジアでは「来させてもらっている。自分が頑張らないといけないんだ」という気持ちが子どもたちから伝わってきます。

「学校の成績は子どもの将来にとって重要」と考える親が多い
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