――人種のかかわり以外に、KUMONが世界で広がっている理由は何でしょうか。
シンガポールやインドは、イギリスの影響をものすごく受けています。話す英語はイギリス英語、ハイティーの文化も根付いている。そういう目に見えないつながりが、シンガポールで暮らして働いていると見えてきます。
KUMONはイギリスでも広がっていて、それが「バタフライ現象」のようにアジアに波及してきています。たとえば、イギリスでKUMONをやっていた子どもがアジアに引っ越してきてまた入会したいと言ったり、逆にアジアからイギリスに引っ越した子どもが向こうでも入会したり。そうしたことが、私たちにとっての追い風になっています。子どもたちが社会に出て、自分の子どもができたときにKUMONを思い出してくれれば、自然に広がっていくのではないかという夢もあります。
“日本ブランド”は関係ない。
――“日本ブランド”ということがKUMONの広がりに影響することはありますか?
それはあまり感じません。たとえばタイやベトナムでは、海外に駐在していたタイ人の子どもがKUMONをやっていて、自分の国に戻ってきたときにも続けたいということがきっかけになりやすいです。タイには約10万人の生徒がいますが、ほとんどがタイ人の先生によるタイ人のための教室です。つまり、KUMONが日本のブランドだからといって、日本人がきっかけで広がっているわけではないのです。
そうなってくると、自然と社員も現地採用のタイ人ということになります。タイやインドネシアには合わせて約200人を超える社員がいますが、そのうち日本人の駐在員はそれぞれ3人ほどしかいません。その国の先生たちに指導の内容を伝えていこうとすると、現地の言葉でないと難しいのです。タイではタイ語でないと間違いなく無理。インドネシアもインドネシア語が必要です。英語が公用語のフィリピンでも90%は英語で伝わりますが、細かいニュアンスまで伝えようとするとタガログ語が必要になります。また、言葉だけでなく大切なことは、その国の子どもたちのことを思うのは、やはりその国の人だからです。その考えからも現地採用の社員を育てるほかにないのです。
――ここまでのお話で、アジアをはじめ世界中の国々が影響を及ぼし合っていることを実感しました。では、日本はいかがでしょうか。一般的に、日本は他国との間で影響を及ぼし合うことが少ないように感じます。
はい、日本を起点に海外にKUMONを広げていくというのはとても難しいと感じています。
*後編へ続きます。
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