調べると、地元公立高校の2次募集の締め切りがちょうどこの日の午前中だったことがわかった。そこで美由紀さんは慌てて、管轄の教育委員会に電話。なんとか試験を受けさせてもらえないかと懇願したが、電話に出た担当者は、すでに募集は締め切られているため、試験は受けられないと言うばかりだった。
残る手は、万一ビザが下りなかったときのことを考えて数カ月前に受験、合格していた私立高校だ。この学校の入学手続き締め切りの前に、ビザが下りたため、入学手続きを見送り、入学辞退扱いとなっていた学校だ。
美由紀さんがダメ元で電話をすると、同校の校長が事情を考慮してくれ、なんと入学を許可してくれた。ただし、入学条件があった。翌20日が入学者説明会となっているため、入学の場合はすぐに決断をしなければならないこと、そして、入学金など納入金をすべて22日までに納めることだ。
入学金は5万円、学校施設費は25万円となり、2人分で60万円が必要となる。入学を決めれば、これに加えて制服代や教科書代なども必要となり、双子合わせておよそ96万円の出費となる。
「公立に断られ、やむをえずこちらの私立高校にお世話になることを決めました。ただ資金繰りは本当に苦しく、留学用の口座からお金を捻出することになってしまいました」(美由紀さん)
一息ついたのもつかの間、再び、山本家を激震が襲う。なんと、オーストラリアの現地校の入学許可が取り消されてしまったのだ。
現地エージェントの話では、学年制度とターム制度の複雑な事情が絡んでいるという。
「まず、7月の入学の延期が決まったようでした。7月の入学を逃すと、オーストラリアでは学年の最後の学期にあたるターム4での入学になるため、留学生をどう受け入れようか、方針が決まっていないようだと説明を受けました」
入学許可、資金力…困難になる「ビザの取得」
彼女たちが留学予定のエリアの場合、学期は4学期制だ。だいたい、新年度は1月始まりで、ターム1が1月下旬から4月上旬、ターム2が4月下旬から7月上旬となっており、当初の計画ではこのターム2に入学の予定でいたのだが、コロナの影響でターム3にあたる7月下旬に入学時期をずらすことを想定していた。
ところが、コロナ問題の深刻化でターム3での入学許可が下りなくなり、残されたのは最後の学期にあたるターム4。
双子の場合、ここで大きな問題が生じる。オーストラリアの義務教育は高校1年生までのため、高校2年生に上がるためには日本の高校入試に匹敵する卒業テストに合格する必要があるのだ。
学校側の意見としては、このテストを、ターム4の出席だけでパスするのは難しいのではないかというのだ。つまり、ターム4で入学する場合、学年を1つ落として留年すること提案してきたのだ。この方針を了解しなければ、入学許可が下りず、ビザ申請にも進めない。
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