9月入学の実現は一筋縄ではいかない
――9月入学導入の目的は、休校による授業の遅れを取り戻すことにありました。
新型コロナによる休校が長引いた結果、学校の教育カリキュラムが非常にタイトになってしまった。さらに、自宅学習による学びの進度には個人や学校による差がどうしても出てしまう。私立など一部の学校は、休校中でもオンライン授業がしっかり行われており、塾に通っているお子さんも学習を進めている。一方で、十分な学習ができない状況に焦りを感じている人がいることも事実だ。
特に2021年に大学入試を控えている高校生にとっては、「入試の準備をしっかり行う時間が欲しい」と大きな関心事になっている。教育現場や学校の設置者である都道府県知事から「いっそのこと始業時期を遅らせるべきではないか」との声があがったのが議論のきっかけだ。
――柴山議員自身は、どんな立場なのでしょうか。
個人的には反対ではないが、解決すべき課題は非常に多岐にわたり、一筋縄には行かないだろう。省庁を横断して議論すべき問題であり、地方自治体や民間企業など、社会全体に理解してもらう必要がある。
自民党内では4月の終わり頃から、私を含めた文部科学相経験者を交えて率直に意見交換してきた。賛否ともに多種多様な意見が出てきたところだ。現在、党内にワーキングチームを設置してさまざまな方から意見を聞き、集中的に議論している。
これまでも東京大学が秋季入学の導入を検討した過去があり、文科省や文科相経験者の間ではメリットとデメリットがあらかた共有されている。
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