留学が中断となった場合、まずは、授業が行われなかった分の授業料について、学校側が生徒側に返還する意志があるかどうかを確認するよう促している。
「留学の仲介をする業者との契約書と、学校との契約書は別々になっていることが多いです。それぞれに見てみてください。場合によっては、現地校へ直接連絡してみるのも手です」
それでも、契約条項の内容によっては一切、返還されないこともあるという。
交換留学や私費留学の場合も「支援なし」
このままの状態が長引けば、現地での卒業認定の取得が難しく、想定した大学受験ができなくなる子どもたちが多発することも考えられる。国の政策として留学を奨励し、後押しを続けてきた日本。同協会の担当者は、「卒業資格がどうなるか、また留年となってしまった場合のことなど、国でもセーフティーネットを考えてほしい」と語る。
独立行政法人日本学生支援機構の調査によれば、日本から海外へ留学している学生の数は2018年度の段階で大学生、大学院生も含めると11万5146人。前年度と比べると9845人増となっており、増加の傾向にあった。
同機構ではコロナの影響を受けた学生に対し「JASSO災害支援金」として10万円の支給を始めている。だが、対象は「海外留学支援制度」や、「トビタテ!留学JAPAN日本代表プログラム」で渡航中だった学生に限られている。交換留学や、私費留学で渡航した生徒たちに対する支援は今のところ見られない。
コロナの影響で当初の予定よりも修了する期間が延びた人たちに対して、滞在費に対する後押しがなければ、資金不足から留学を諦めて帰国する生徒も出てくるだろう。
この場合、帰国後の受け入れ先の問題もある。とくに、懸念されるのが高校生だ。私立の中にはこれらの学生の受け入れを柔軟に行う学校も見られるが、山本家のケースのように資金はそれなりに必要となる。
また、そもそも、そうした私立が近くにないという地方の場合、公立校での受け入れがなければ、残るは通信制高校となる。こうした苦境を乗り越えるため、自ら知恵を絞り、努力する家族は多いだろうが、それだけではどうにもならない壁が見える。夢を持って渡航した若者たちの翼が折られないようにと祈るばかりだ。
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