日本人は「民度が高い」と言い切るのが難しい訳 6つの国際ランキングを検証して見える真の姿

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<教育水準>

まずは、日本は教育水準が高く、国民はみんな賢いと思われがちだ。実際に若年層の80%近くが高等教育段階に進んでおり、これはOECD諸国の中でもトップクラスのレベルといってよい。ところが「大学進学率」を見ると、次のようになる(2010年、OECD)。

◆大学進学率◆
1.オーストラリア……96%
2.アイスランド……93%
3.ポルトガル……89%
4.ポーランド……84%
5.ニュージーランド……80%
9.アメリカ……74%
10.韓国……71%
16.イギリス……63%
21.スペイン……52%
22.日本……51%
(出所:OECD「Education at a Glance 2012」)

日本はかろうじて22位であり、大学進学率はOECDの平均63%を大きく下回っている。ちなみに、日本では大学進学率が低いうえに、社会人が大学などで学ぶ「生涯教育率」は先進国では最低レベルだ。30歳以上の成人の通学率(OECD、2012年)を見ると、第1位はフィンランドで8.27%、第3位のイギリス(7.67%)、6位のスペイン(5.69%)に対して、日本は18位の1.60%。先進国の中では最下位だ。

<貧困>

貧困はさまざまな面で国民生活や国のイメージを損なう。貧困者が増えれば貧民街が形成され、犯罪組織が出来て麻薬や人身売買、暴力などの犯罪が蔓延ってしまう。そういう意味では、貧困率も「民度」とは密接な関係があると思われる。そこで、貧困率ランキング(OECD、2017年)をチェックすると――。

◆貧困率ランキング◆
1.南アフリカ……26.6%
2.コスタリカ……20.4%
3.ブラジル……20.0%
4.イスラエル、ルーマニア……17.9%
6.アメリカ……17.8%
7.韓国……17.4%
15.日本……15.7%
(出所:OECD)

ちなみに、貧困率が最も低いのはアイスランドの5.40%となっている。アメリカで新型コロナウイルスの死者が多かったのは、国民皆保険制度がなかったことに加えて、移民など貧困率が高かったからだといわれている。少なくとも、日本はアメリカや韓国よりも貧困率はわずかながらも低いから、民度が高いとも言える。とはいえ、日本の貧富の格差は拡大し続けていると言われる。新型コロナによって、その格差はさらに拡大する可能性が高い。

凶悪犯罪発生率の低さは世界一?

<治安>

治安がいい国、というのが日本国内では定着した日本のイメージと考えられているが、本当にそうなのだろうか。

暴力に対する社会的許容度が低いのは、やはり犯罪がはびこり、外国から訪れる観光客を襲うなどの事件の温床になりやすい。たとえば、「UNDOC(国連薬物犯罪事務所)」の調査によると「殺人発生率」では、日本は174カ国中168位で0.24件(10万人当たり、2017年、以下同)。シンガポール(0.19件)、香港(0.33件)と並んで治安の良さは納得できる。

不名誉な第1位はエルサルバドルの61.71件、ロシアは40位で9.13件、65位のアメリカは5.32件で、トルコ(4.31件)やイラン(2.50件)よりも高い。

凶悪犯罪以外の犯罪も含めて調査したデータではどうだろう。「国際犯罪被害者調査」(UNDOCとUNICRI=国連地域間犯罪司法研究所)による共同調査、2009年)で見ると、日本は「在来型10犯罪(暴行、恐喝、強盗、女性に対する性犯罪などの10犯罪)」でみると、OECD加盟国の中ではスペインに次いで2番目に低かった。

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