「WHOを信用できない人」が抱く違和感の正体 「中国寄り発言」からも伺える彼らの胡散臭さ

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筆者は、エボラ出血熱の大流行の経緯を調べ、WHOは組織改革を行うか、解体されてしかるべきだと感じる。2009年、新型インフルエンザに対しPHEICを宣言したことが「過剰反応」と批判されたことが、WHOの慎重姿勢を招いたとも言われるが“大山鳴動して鼠一匹”でよかったのだ。

ちなみにWHOの事務局長をつとめるテドロス氏は、中国から巨額の投資を受けているエチオピアで保健相をつとめていた。アメリカのウォールストリート・ジャーナル電子版は「経済や指導部のイメージを損なうとする中国の懸念をWHOが重視しすぎた」と指摘。WHOの内部からも、WHOの中国賛美は「過剰」だったと批判が出ている、あくまで状況証拠に過ぎないが、そこに「忖度」があった可能性は高い。

今、日本国内では、緊急事態宣言後も営業する店や遊技場、遊びに出かける個人が不興を買っている。しかし大きな視点で見れば……ここまで感染が拡大し、多くの人が「被災」すれば、海外へ卒業旅行に行く学生や、自覚症状がありながら帰省する人が出現してしまうのは当然のことなのだ(もちろんいないに越したことはないのだけれど)。

パンデミックに終わりはない

だからこそ今は、WHOや発生国の政府がいかに怠慢を犯したのか、さらには日本国が将来のパンデミックとどう付き合っていくかを議論する必要性を感じる。

ちなみにWHOは、エボラ出血熱への対応の遅れを「官僚主義の横行」「職員の怠慢」「情報不足」と結論づけた。もっと正確に言えば、内部の機密文書でこう結論づけ、後日漏れて「炎上」している。しかし現在、安倍首相を含む世界各国のリーダーは、WHOの指針に従って対策を決めていかざるを得ない――。

このままではいけない。なぜなら、次のパンデミックはいつかやってくるからだ。

夏目 幸明 経済ジャーナリスト

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なつめ ゆきあき / Yukiaki Natsume

経済ジャーナリスト。早稲田大学卒業後、広告代理店勤務を経て現職。「技術、マーケティング、マネジメントが見えれば企業が見える」を掲げ、ヒット商品の開発者、起業家、大手企業の社長などを精力的に取材。『週刊現代』の「社長の風景」は長期にわたる人気連載になっており、ほか『ダイヤモンドオンライン』の「ヒット商品開発の舞台裏」等も連載。著書は『ぷしゅ よなよなエールがお世話になります』(井手社長の口述を筆記)ほか多数。

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