「WHOを信用できない人」が抱く違和感の正体 「中国寄り発言」からも伺える彼らの胡散臭さ

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では、WHOはなぜPHEICを宣言しなかったのか。

まず、疫病がアフリカで起きたからだ。現地は「政府の役人が介在すると援助の9割がどこかに消えてしまう」と言われる場所で、疫病に対し宗教的なアプローチをする人も多い。いわゆる「先進国」から見れば、失礼ながら「遠くの未開の地」だ。ここに介入する場合、非常に大きな人的、経済的援助が必要となる。

また、国境なき医師団は危機感をあらわにしていたが、ギニア国内には楽観視する勢力があった。エボラ出血熱の発生地は、ギニア南部の森林地帯で、首都・コナクリにまで感染は広がらない、とその勢力は考えたのだ。これはのちに「WHOがPHEICを宣言すると経済的な打撃を被る」からこそ楽観的になったと言われており、ギニアは情報開示に消極的になった。

どこかで見た構図ではないだろうか?

WHOは信用に足る組織なのか?

ここで少し話題がそれることを許してほしい。東日本大震災発生後、すぐに高速道路が復旧し、被災地に救援物資が運ばれ、世界が日本の道路復旧の速さに驚いたことをご記憶だろうか。これは阪神・淡路大震災の教訓を生かし、NEXCOがさまざまな建築会社と「見積りは必要ないから有事にはすぐ復旧工事を頼みます」という内容の契約を結んでいたからこそだった。

一方、WHOはエボラ出血熱の教訓をまったく生かさなかった。それどころかWHOは国境なき医師団に対し「初期の事例を報告しなかった」と批判。逆に国境なき医師団から「2014年3月半ばに確認が取れた段階で、あらゆる資材を投入し、大規模な支援を開始するべきだった」「にもかかわらずWHOは翌日、国境なき医師団が誇張していると言った」と声明を出されている。

読者はどう感じるだろうか?

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