増えている「オンラインハラスメント」の実態 「○○リレー」や「バトン」に疲弊する人が続出

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連絡用のツールが今まで以上に必要になり、とりあえずSNSのアカウントを使い始めたり、チャットツールを導入した企業も多く、公私の境がなくなることも問題です。夜中など時間に関係なくメッセージが来たりすることでトラブルも起こっています。そもそもメールは時間に縛られずこちらの都合で送ることができ、相手も都合のよいときに見て返信ができるという意味ではメリットが大きいのですが、よりパーソナルな連絡ツールになると、どこまで返信をしなければならないのかと迷うことも多いようです。

とくに既読がついてしまうようなツールではその負担は大きくなりますので、時間帯を決め、それ以外の時間帯に受信したものは、すぐに返信はしなくてもよいなどの職場ルールを作ることも大切です。また、ハートのついたスタンプなどを使用することによって思いがけない誤解を生むこともあるので、社内用のツールはあくまでも仕事のツールとわきまえましょう。

「今どき、Wi-Fi環境がないってどういうこと? やる気ある?」といったITリテラシーに関してもハラスメントが起こっています。「パケットの従量制限がかかるってありえないでしょ」と言うのではなく、PCやルーターの貸し出しなども含めて在宅ワークを進めていく必要があるのですが、その準備が整わないまま、なし崩し的に導入してしまったところでは、こういったハラスメントも起こります。

最初のうちは環境が整わなかったり操作に慣れなくても、ずっとそれに甘んじているわけにはいかず、仕事を遂行していくうえで対応する努力はもちろん個人でも必要になってきます。ただ、いきなり切り捨てるというのは、やはり問題があります。実際にWi-Fi環境のよくない社員が会議に参加している場合、その人に話しかける頻度が極端に下がってしまうようなことも起きています。また、普段SNSを使用していない人が、社内情報を公開してしまうなどのリスクもあります。こういったリスクを回避していくために、環境整備や教育を行うことも重要です。

SNSの「○○リレー」に悩まされる人も

ご存じの方も多いと思いますが、SNSで流れてくる○○チャレンジ、○○リレー、バトンやゲームといった、一昔前の不幸の手紙やチェーンメールのような類のものあふれてきました。もちろん、家で過ごすための純粋な楽しみで参加できるなら推奨するべきところですが、なかなかそうもいかない現実があります。

自主的に参加できるものならともかく、「次はあなた」と指名されることに非常にプレッシャーを感じることもあったり、個人的にメッセージが来て断りづらかったり、これを書いてくれといった宣伝まがいのことを強要してくることもあります。基本、嫌なものはスルーすればよいのですが、気持ちにゆとりがなくなっている今、スルーしようにもできない葛藤で悩まれる方も少なくありません。逆に、自分のところに回って来ないという孤独感を訴える方もいます。

それぞれの立場、さまざまな価値観があり、すべての人の気持ちに寄りそうことは残念ながらできません。ただ、実際に触れ合うことのないオンラインでは、より一層相手への配慮を持ち、お互いが不快な思いをしないで済むような温かい思いやりの気持ちを持っていただくことで、多くのトラブルが回避されると信じています。

大野 萌子 日本メンタルアップ支援機構 代表理事

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おおの もえこ / Moeko Ohno

法政大学卒。一般社団法人日本メンタルアップ支援機構(メンタルアップマネージャ資格認定機関)代表理事、産業カウンセラー、2級キャリアコンサルティング技能士。企業内健康管理室カウンセラーとしての長年の現場経験を生かした、人間関係改善に必須のコミュニケーション、ストレスマネジメントなどの分野を得意とする。現在は防衛省、文部科学省などの官公庁をはじめ、大手企業、大学、医療機関などで年間120件以上の講演・研修を行い、机上の空論ではない「生きたメンタルヘルス対策」を提供している。著書に『よけいなひと言を好かれるセリフに変える言いかえ図鑑』(サンマーク出版)がある。

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