ミュージシャンからコンサルに転職してみた マイナスの第一印象を、いかにプラスに転換するか

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相手が欲しがる人物像に近づける

「転職のいちばんのポイントは、自分のデメリットと思われるものをどうメリットに転換するか。いかに相手が欲しがる人物像に近づけるか、表現するテクニックが必要になってくる」

エリックさんはこう表現した。

「日本の大手企業で、コンピュータと金融の知識を身に付けました。英語も話せます」。アメリカ人は、日本企業のビジネスを知っていて、コンピュータ、金融、語学に強い人間を絶対に欲しがると踏んだのだ。

AT&Tでは、ネットワークコンサルティングの領域を開発した。「当時は、ネットワークは『土管屋』と言われていて、回線をつないでいるだけだと見なされていた。しかし、私が担当していた銀行業務ではネットワークが遅いのは問題外だし、開設に時間がかかると新しいビジネスを始められない。重要なインフラだから、これはビジネスになると考えた」。

ビジネスと経営を学ぶため、青山学院大学院でMBAを取得する。2000年、33歳のときに、アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)に転職。このときはこう表現した。

「アメリカのビジネスを知っています。一流の金融機関を担当していたので、金融のトップが何を考えているかもわかる。一方で、現場で回線を引いている業者の気持ちもわかります」。特に、現場を知っていることは、机上の空論になりがちなコンサルティング業界でメリットになる。

通信事業者向けに、次世代ネットワークのコンサルティングを行い、さらにメディアとエンターテインメントの領域に拡大。音楽や映画、ゲーム業界の新規事業コンサルティングを始めた。これまでの知識や経験をすべて総動員した格好だ。

「音楽業界からいったん離れたが、音楽業界に対する問題意識はずっとあった。たとえば、インターネットによって音楽は簡単にダウンロードできるようになったが、効率重視で感動が薄れている。私は音楽業界をよく知っているからこそ、貢献したい。感動するようなコンテンツを作るプロセスを作りたいと思っている」

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