ダイバーシティ企業に学ぶ危機を乗り越える策

母が知的障害のある娘のために行った改革

障害を抱える人と健常者がともに働く職場として「がんばカンパニー」を紹介。誰もが働きやすい企業を目指すうえで大切なこととは?(写真:EKAKI/PIXTA) 
新型コロナウイルスの余波は、まだ終わりが見えない。だが、特徴ある企業が過去、危機的状況をどう乗り越えたのかを見ていくと、コロナ禍に負けない企業作りのヒントが隠されている。
滋賀県大津市でオーガニック素材のクッキーを製造販売している「がんばカンパニー」。1986年に設立され、年商1億円以上の規模を保っている。法人全体の雇用者数137人中、障害者手帳を持っている人が65人、手帳を持っていないがうつなどの疾患を抱える人、生活保護受給者、シングルマザーなどの就労困難者が34人。究極のダイバーシティー企業と言える。
同社を含め、障害者雇用を給与面からも成功させた、複数の企業を紹介する『障がい者だからって、稼ぎがないと思うなよ。 ソーシャルファームという希望』からみてみよう。

がんばカンパニーとは?

日本には、身体、知的、精神障害者が、合わせて900万人以上いる。企業には障害者雇用が義務付けられているが、民間企業の雇用障害者数は約53万5000人。法定雇用率を達成している企業数は半分以下、それどころか行政による障害者の水増し雇用が発覚するような状況では、働きたい、働かねばならない障害者の多くにとって現実的には「作業所」が唯一の選択肢となる。

「作業所」は障害者運動の流れの中で、主に家族らによって日本各地に作られた。営利目的ではなく、福祉の観点から出発しており、養護学校卒業後の受け皿的な意味合いもある。

支払いは「給与」ではなく、収益が出た場合に「工賃」名目で支給されることが多いのだが、「工賃」は法律上、明確に定められておらず、通知などにより行政指導がなされるだけだから、月8000円の「工賃」もまかり通ってしまう。それどころか食事代、送迎代を支払うことも多く、お金を払って働かせてもらう状態だ。

だが、「がんばカンパニー」では障害者とも雇用契約を結び、働く全員が最低賃金以上を実現している。その「給与」は労働に応じて月6万~24万円と、全国の障害者施設(就労継続支援事業)の平均2万円余りを大きく上回っている。

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