ニュージーランド「手厚い」経済支援の中身 対策について国民はどう思っているのか

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●サプライチェーンの保護
6億NZドル(約389億円)  航空セクターをサポートし、サプライチェーンを保護するためのの施策
●コミュニティー
2700万NZドル(約17億5200万円)  社会に不可欠なサポートを提供し続けるための社会事業サービスとコミュニティーグループのため
●高等教育を受ける学生
1億3000万NZドル(約84億3800万円)  正規学生が新型コロナウイルス下で学業を続けるための費用

 

最も重要とされているのは、「労働者と企業の支援」だ。新型コロナウイルスの影響で、収益が30%以上落ちたなど、指定の条件にかなう企業(自営業者含む)を通し、労働者に支払われる。週20時間以上勤務する常勤者の場合、週に585NZドル80セント(約3万8000円)、20時間以下のパートタイム勤務者の場合、同350NZドル(約2万2700円)が12週間にわたって支給される。4月2日現在ですでに65万人が恩恵を受けているという。

企業のための特別な資金貸付制度も立ち上げられている。25万NZドル(約1620万円)から8000万NZドル(約52億円)の年商がある企業は、各銀行で最長で3年間、最大で50万NZドル(約3240万円)のローンの申請が可能になった。

この経済策は3月17日に発表となった分だけでGDPの4%に相当する。世界金融危機に対応して実施されたものより、また3月17日の時点で、それまでに発表になっていたオーストラリア、イギリス、アメリカの同様の経済策より規模が大きいそうだ。国内の経済専門家はもちろん、労働組合、一般人も高く評価している。5月発表の2020年度予算案にも、さらに経済と社会を正常化に近づけるための経済策が含まれているといわれ、期待されている。

失業率は最低でも13%になると予想

4月14日、財務省は新型コロナウイルスが来年国内にどのような経済的影響をもたらすかという予測を発表した。これはレベル4にとどまる期間をもとにしている。ウイルスの感染が抑えられ、レベル4を予定通り4週間で終えられたとしても、失業率は13%にまで及ぶという。ちなみに統計局によると、2019年第4四半期の失業率は4%だった。

4月20日、ジャシンダ・アーダーン首相は記者会見を開き、レベル4に予定より1週間長く据え置くことを明らかにした。レベル4は4月27日午後11時59分に終了し、レベル3に移行する。

筆者の冷蔵庫に張られた「手引書」は危険度が上がっていく時用のものだったので、今度は下がっていく時用のものに取り換えることになる。このままレベルが順調に下がっていけばいいが、アーダーン首相は「再度上げなくてはならない事態になったら、ちゅうちょせずに上げる」と言い切っている。

クローディアー 真理 フリーランスジャーナリスト(在ニュージーランド)

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Mari Clothier

東京の出版社/旅行情報提供会社に、海外情報を担当する編集者として8年間勤務。1998年よりニュージーランド在住。オークランドにて博物館勤務、地元 日本語誌2誌の編集者・編集長を務めた後、2003年よりニュープリマスに移り、フリーランスライターとして本格的にリサーチ・取材・執筆活動を始める。ニュー ジーランド航空やニュージーランド観光局の発行物やウェブサイト、ガイドブックや留学情報誌などの執筆を経て、現在は『PUNTA』、『WEBRONZA』 といったウェブ媒体、『クーヨン』などの育児誌、『ソトコト』などのロハス誌、『Monthly ALCOM WORLD』(アルク)などのクロスカルチャー誌などの印刷媒体に寄稿。

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