コロナ対策「10万円給付」案が検討されるわけ リーマンショック時を凌駕する総額12兆円に

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新型コロナウイルスに関する大型の経済対策が検討されている。写真は2020年3月14日に記者会見した安倍晋三首相(写真:ZUMA Press/アフロ)

新型コロナウイルスの感染拡大に伴う大型経済対策案の1つとして、リーマンショック時を上回る、国民への現金給付案が急浮上している。最大で国民1人当たり10万円、総額12兆円にのぼる破格の金額だ。

安倍政権は3月19日から、コロナ危機で甚大な影響を受けている個人や企業などの要望を聞く集中ヒアリングを始めた。7回程度とされるヒアリング結果と2020年度当初予算案の成立を踏まえ、3月末までに補正予算による大型経済対策の概要を公表する見通しだ。

消費減税の火消しに回った財務省

3月前半に大型経済対策の検討が伝わると、真っ先に動いたのは財務省だった。消費喚起策として、消費税率を5%程度に引き下げるべきとの主張が与野党の一部から出始めたため、その火消しに回ったのだ。なにしろ、安倍政権は2度の消費増税延期や消費増税の税収使途変更を実施した経緯があり、社会保障財源としての消費税への思いはそれほど強くない。

財務省は消費税率引き下げに強硬に反発した。「そもそも減税は制度改正を伴い、タイムラグが生じるため、緊急の消費喚起策には適さない。1990年代のバブル崩壊への対応では当初、減税手法が用いられたが、その限界があらわとなって商品券や現金給付に切り替えた」と財務省幹部は言う。

さらに、この幹部は「仮に消費減税すると言ったら、その瞬間から(減税実施日まで)猛烈な買い控えが起こり、逆に消費が大きく落ち込むことになる」と警告する。買い控えが起きていちばん困るのは企業であり、産業界は税率変更に伴う手間やコストを費やしてまで消費減税を行うことに猛反発する可能性が高い。

消費税率引き下げについては、自民党の岸田文雄政調会長らも慎重な姿勢だ。財務省の火消し作業は官邸や与党内で一定の成果を上げており、消費減税の可能性は低いとみられる。

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