「新型コロナで円暴落」が信じられない理由 円は暴落も急騰もない「レンジ相場」が続く

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ドル円相場は株価の大荒れでも意外に安定している。なぜなのか(写真:Tr1 / PIXTA)

新型コロナによる経済ショックは大きく、さまざまな不安が起きているが、ドル円相場はさほど大きく動いていない。アジアで感染が拡大した2月後半には1ドル112円を超える円安に動き、欧州で感染が急拡大してWHO(世界保健機構)によるパンデミック宣言の観測が高まった3月9日(実際の宣言は11日)には、1ドル102円台前半をつけたが、その後は乱高下しながらも、経済政策などを好感し111円台後半まで戻り、足元では108円台となっている。

リーマンショック以来「リスクオンの円安、リスクオフの円高」という言葉が定着したため、「円が大幅に上昇していない」ことを不思議に感じたり、日米の金利差が縮小しているのだからもっと円高が進むはずだという疑問も生じる。

一方、当初、円安に振れたため「日本売り・円売りが起きているのではないか」と不安を感じた向きもあったようだ。はては、過去の恐慌を引き合いに「新型コロナで円暴落・ハイパーインフレ」を喧伝する向きもあるが、そうした見方はまったくデータを踏まえていないもので、冷静に構造を見ておきたい。

2008年よりもキャリートレードが減ってきた

実際のドル円のグラフを見てみよう。2018年ごろからドル円の動きは小さくなったことが見て取れる。その理由として為替のプロはいくつかの指摘を行っている。

主な論点として、第1にキャリートレードがリーマンショックの前後に比べて小さくなったこと、第2に日本からの対外証券投資よりも対外直接投資が大きくなってきていることがある。

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