ドル円が大きく動かなくなったことは、ドルと円の動きを分解してみるとわかる。為替は相対的なものだからだ。
ドルの名目実効レート(複数の通貨間の実力を見たもの)を見てみると、ドルはリーマンショックの後にも買われて、急上昇しているが、足元でも急上昇している。
円の名目実効レートを見てみると、やはりこちらも、2008年のリーマンショックの後と同様に上昇している。
現下のように世界中の機関投資家がドルを抱え込む動きが広がっている中でも、「円は強い」ともいえる。日本は世界最大の対外債権大国なので、日本人が対外証券投資の資金を国内に戻すだけでもまだ、大きな円高要因になる。
この裏側で、暴落しているのは新興国通貨だ。3月初旬にレバノンがでフォルトに陥り話題となったが、コロナ禍が長引けば、対外債務が多く経常赤字を抱える新興国でデフォルトの可能性が高まってくる。
1ドル100~110円のレンジ相場が続くか
以上のような構造を踏まえると、かつての危機時の動きを当てはめて新型コロナショックで1ドル=80円といった動きにはならないのではないか。
JPモルガンの佐々木氏は「1ドル=100~111円といった現状の動きが続く」と予想する。みずほ銀行の唐鎌氏もほぼ同様で、「危機ムードが高まれば100~105円、楽観ムードであれば105~110円」と見る。
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