近畿圏の公設民営の学童保育所で働く30代の指導員Fさんは、今か今かと緊急事態宣言が出るのを待っていた。タイミングは遅かったが、それでも4月7日の発令によって崩壊寸前だった勤務体制に少しだけゆとりが生まれたという。
Fさんには3月にも話を聞いていた。「指導員の体力はもう限界に来ています。このままでは指導員が倒れてしまいます」と訴えていた。
「三密状態」を避けられない職場
Fさんの職場は、アルバイトも含めて8人。うち、5人が60代以上。70代も2人いた。休校措置以降、朝からの開所が続き、いつもは3時間半しか働かない人が9時間以上の勤務を続けていた。週3回の人は週4に、週4の人は週5出勤しないと現場が回らなかった。
「感染した場合、重症化のリスクの高い人が5人いましたが、5人全員休職にすると開所さえできません。事態が悪化していくなかで、せめて70代の方には休んでいただくことにしました」
残り5人で働き続けてきた。三密を避けるようにと言われても、できるのは消毒を徹底して、換気をよくすることだけ。子どもたちはすぐに密集して、密接状態になる。
「三密にならないようにと、子どもがひっつくたびに『離れて』と言わねばならず、イライラ状態が続いている同僚もいました。3月は6割程度に減っていた子どもの数も、4月になって1年生が入ってきたことで増加しています。慣れない環境に不安を感じる子も多いため、この時期はさらに指導員への密着度も上がります」
緊急事態宣言が出たことで、1年生は11時まで、他の学年は14時半まで学校で預かってもらえることになった。これまでFさんが大切にしてきた保育方針を守ることは難しいかもしれない。そんな不安はあるが、非常事態だ。
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