精神を病んでしまった経済学を救う術はあるか もしユングとフロイトが経済学の魂を診たら

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経済学を精神分析したら、どんな疾患を抱えているのだろうか(写真:LeoWolfert/iStock)  
NHK「欲望の資本主義」シリーズ(書籍では『欲望の資本主義』『欲望の資本主義2』)にも登場したチェコの若き俊英、トーマス・セドラチェク。ロングセラー『善と悪の経済学』で経済学のあるべき姿を説いた彼は、続編『資本主義の精神分析』で、ジャーナリストのタンツァーとともに、斬新な方法で経済学の抱える病を解き明かす。
「経済学を精神分析のソファに乗せる」というユニークな試みで2人は何を伝えたかったのか。抜粋・編集してお届けする。

もし、経済学をフロイトのソファに乗せたら

自分のことを理性的で真面目で大人だと思っている(そしてそれを鼻にかけている)人に精神分析を受けさせるのは、なかなか愉快なものだ。そして人間にこの手法を用いるのが正当であり、かつ有益な可能性があるのなら、人間を取り囲み、人間を形成している社会構造などの「システム」にも、それを行わない手はないだろう。

『続・善と悪の経済学 資本主義の精神分析』(書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします。紙版はこちら、電子版はこちら。楽天サイトの紙版はこちら、電子版はこちら)(セドラチェク氏が出演するBS1スペシャル シリーズ コロナ危機「グローバル経済 複雑性への挑戦」はNHKBS1にて、4月29日(水)午後1時より再放送されます)

前々から私はこの思いを抱き、自分の愛する経済学という学問にそれを試みたいと考えていた。好奇心のせいだけではない。経済学的な視点は今、人々の思考の中でより重要なものになりつつあるからだ。

政治も社会も、経済的な視点によって形成される。祖先の時代に比べて現代では、お金があろうとなかろうと基本的な生存手段は等しく手に入れられるようになっているが(収穫、身の安全、健康、教育など)、人間の思考のあり方には経済的な論理がずっと大きな影響を与えている。

精神分析の古典的な図は、患者がソファに横になり、話を語るというものだ。精神分析家はそれに耳を傾け、メモをとり、患者の言葉を熟考する。それと同じことを、本書では社会に対して行ってみようと思う。経済学をソファの上にのせ、相手の語ることに単純に耳を澄ますというのが、本書の一部分における基本的な手法だ。

さて、どんな言葉が口にされるだろうか? (経済学の)希望は、夢は、何なのだろう? 何を恐れるのだろう? 何をどのように正当化するのだろう? 何について語るのが好きで、どんなテーマをタブー視し、どんなテーマには口をつぐむのだろう? 自分自身のことを、どのように見ているのだろう? 自分の感情を、どんなふうに処理しているのだろう? 他者との関係はどうなのだろう?

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