日本企業に今「セカンドペンギン」が必要なワケ 水野学×山口周「日本におけるリーダー問題」
バルミューダというオルタナティブな実例
山口周(以下、山口):「意味がある」の会社の例として、僕はよくバルミューダを挙げています。他社製品なら2000円で買えるのに2万円のトースターを売り出して、10年間で売り上げが1000%成長しています。これは1つの流れなのかなという気がしています。
機能ではなく「意味がある」というニッチを追求して、SNSの力で世界中のニッチな人に商品を届ける。世界が市場なら、いくらニッチでも分母が違いますからね。広告代理店を使って日本人全員に買わせようとするよりも、たくさんの人に売れます(笑)。
日本の産業全体にとってチャレンジだと思うのは、「意味があるといく価値」で世界と勝負できる会社になってブランド化するときに、誰がそれをドライブするのかという問題です。先ほど水野さんのお話があったように、企業の人たちの多くは、自分で判断するのが苦手です。だから水野さんみたいな外部のインディペンデント・デザイナーとかクリエイティブ・ディレクター、あるいは広告代理店の力を借りる。
僕は電通や博報堂の知り合いに「意味をつくる仕事をすべきだ」とたきつけているんだけれど(笑)、広告代理店は「AI推進プロジェクト」とか「ビッグデータ企画室」みたいな「役に立つ方向」を見ていますね。すごく不向きな路線で勝負しようとしている気がします。