日本企業に今「セカンドペンギン」が必要なワケ

水野学×山口周「日本におけるリーダー問題」

水野学(以下、水野):クリエイティブ・ディレクターは、「新しい方法で意味をつくる」という役割があります。いわゆる「ブランディング」の一環です。

ブランディングをうまく進めるには、おっしゃるとおり、外部のクリエイティブ・ディレクターを入れるのがスムーズだと思います。僕自身もこの立場で、さまざまなブランドや企業と関わっています。

あるいは、企業のトップや経営陣に、優れたクリエイティブ・ディレクターもしくはクリエイティブ担当がいるケースもありますよね。Appleにはスティーブ・ジョブズがいました。バルミューダの寺尾玄さんもこちらにあたると思います。いずれにせよ、「新しい方法で意味をつくる」ことができる人材の増加が、喫緊の課題ですね。

山口:「新しい方法で意味をつくる」という話は、リーダーシップ論につながると思います。これからの日本には、美の競争優位とクリエイティブ・リーダーシップが必要だと僕は考えています。

同時に、「リーダー不在が問題だ」とか「リーダー待望論」なんて言われていますが、本当にそうなのかという気もしているんです。

よく「ファーストペンギンになれ」と言うけれど…

水野:リーダーになれる人材はすでにいるということでしょうか?

山口:リーダー誕生のプロセスを電柱地中化の例で分解してみると、こういう話だと思うんです。

「パリに電柱は似合わない。地中化するべきだ」と言い始めた最初の1人は、この時点ではまだリーダーじゃないですよね。ただの変わった意見を言う人です。でも、「あ、その意見に私も賛成」って誰かが言ってフォロワーが生まれた瞬間、その人はリーダーに変わる。

つまりリーダーシップとは関係性によって成立する「場に関する概念」だということです。「リーダーしかいない」というのはだから「フォロワーがいない」ということでもある。

よく「ファーストペンギンになれ」と言うけれど、ファーストってまさに相対的な概念で、セカンドが出たときに初めてファーストになるんですよね。

水野:たしかに……。そうか、ファーストになれないファーストペンギンは、実はたくさんいるのかもしれないですね。

山口:そうなんです。でも、1羽で真っ先に飛び込んで、「あいつ、オットセイに食われちゃったよ」となると、「ファーストペンギン」ではなく「アローンペンギン」にしかならない。「アローンペンギン」を「ファーストペンギン」にするのは「セカンドペンギン」なんです。

セカンドペンギンがいない理由について、僕は仮説があって、それは「日本人はリーダーが嫌い」ということではないか、と思っているんです。クラスの中で周りの空気を読み合って意見がまとまりかけているとき、「これはおかしいと思う」とか言い出す奴がいるとひんしゅくを買うでしょう?

水野:「めんどくさいやつ」とか、「ええカッコしてる」とか「目立ちたがり」とか。それって会社組織でも同じですね。浮いてしまうというか、周りから浮かされちゃう。

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