日本企業に今「セカンドペンギン」が必要なワケ 水野学×山口周「日本におけるリーダー問題」
山口:セカンドペンギンというフォロワーをつくるために、昔はカリスマがリーダーになったし、1990年代まではロジカル(論理)リーダーシップとかアナリティカル(分析)リーダーシップが求められていました。
水野:論理と分析のリーダーシップ。確かにわかりやすいですよね。アナライズやロジカルは「役に立つ」の物差しですし、世の中にたくさんある問題をテクノロジーで解決するなら、実際に役に立ちます。
今後はクリエイティブ・リーダーシップが必要
山口:はい。論理や分析は、正しさが普遍性をもって担保されますね。科学的合理性というには少し無理がありますが、「この人についていけば正解だ。自分がバカの仲間になることはない」というのが、周囲に見えやすいんです。
でも、「意味がある」の物差しを使うクリエイティブ・リーダーシップはすごく難しい。何が美しいか、カッコいいか、意味があるかという正解がない世界で「私はこの人の言っていることは正しいと思うので応援します」って言うこと自体、すごく勇気がいると思います。
みんながその意見を正しいと思ってくれるかどうか保証されていないから、水野さんがプレゼンで体験しているように、周りの顔色をお互いに見ながらなかなか決断しない。
水野:下手をしたら、ファーストペンギンとセカンドペンギンがオットセイに食われる様子を見物しながら、残りのペンギンがつるんで笑うって可能性もありますしね……。
山口:だからこそ、フォロワーシップ自体がリーダーシップになりうる。セカンドペンギンはリーダーを作り、次のフォロワーにつなげるための新しいリーダーという側面もあると思います。これからは企業のトップだけではなく一人ひとりに、クリエイティブ・リーダーシップや美の競争優位が必要になってきます。
自分の感覚を大切にして、「自分がカッコいいと思うものはなんといってもカッコいいんだ」って言えることがすごく大事だと思います。
あるいは、誰かの提案を自分の感覚で判断して、「この意見はすごく重要だ」とか「誰も応援しなくてもこの人の提案を私は支持する」と言えるイニシアチブが、意味の時代には不可欠です。
水野:リーダーにもフォロワーにもクリエイティブ・リーダーシップが必要なのが意味の時代であり、文化の時代。それがブランディングにもつながっていく気がします。「クリエイティブ・コンフィデンス」は、必須のビジネススキルになっていきますね。
(次回に続く)
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