新型肺炎もどこ吹く風と言わんばかりの快走ぶりが目立ったのがワークマンだ。同社の2月の既存店売上高は前年同月比27%増。5カ月連続で20%超の高い伸びを維持している。
防寒衣料は会社の想定ほど販売が伸びず、在庫が積み上がったままの状態だが、通年で販売しているデニム商品や作業服がよく売れたほか、人気ブロガーとのコラボで新たに開発した綿製のキャンプウェア「コットンキャンパー」が大ヒット。幸か不幸か、郊外店が中心のワークマンは観光客らが集中する都心は手薄なエリアでもあり、「2月には新型肺炎の影響は見られなかった」(ワークマンIR担当者)という。
このほかショッピングセンターや駅ビルなどの商業施設内に展開するアパレル専門店では、2月の既存店売上高がほぼ前年並みの企業が多くみられた。「月末にかけて新型肺炎の余波で客足が減ったが、全般的に暖かい気候で、春物のカットソーなどが並び始める2月の経営環境としては悪くなかった」と、大手アパレル幹部は話す。
主要販路が百貨店のアパレルは苦戦
一方、同じ衣料品を扱いながらも、2月の業績に打撃を受けたのが百貨店を主要販路とするアパレルメーカーだ。三越伊勢丹や高島屋など大手百貨店の2月の国内既存売上高は国内外客の入店数減少により、軒並み2ケタ減となった。
百貨店向けのアパレルメーカーは、この余波をもろに受けている。「百貨店の主要客である中高年やシニアの富裕層ほど、感染を警戒して家にこもりがち」(前出とは別のアパレル幹部)。
「店頭は未だかつてないような最悪な状況。特に2月20日以降はひどく、1~2月の実績を踏まえて、販売施策よりも(コストを)削ることを徹底しないといけない」。2月末に開かれたレナウンの決算説明会で、同社の毛利憲司取締役は肩を落とした。高級紳士服「ダーバン」や「アクアスキュータム」などを展開するレナウンは、単体売上高のうち百貨店向けが過半を占めるため、会社全体の足元の業績も苦戦しているようだ。
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