世界のどの宗教にも共通する3つの大事な役割 社会の主流は動かさないが機能は続いている

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こうした呪術には心理的な働きがあり、病気などの場合、それが絶大な効果を上げる場合があります(心理状態がある程度身体状態にフィードバックされる)。

それにそもそも、ビジネスの企画から政府の政策まで、事がつねに未来の予測(占い?)に関わる以上、完全には科学的といえない希望的な要素はつねに存在します。それと同様のことを宗教が象徴的に行っているとも言えます。

あらゆる個人が「希望」を原理として生きている以上、どんなに絶望的な状況の者にも「希望」を抱く権利があるでしょう。それが奇跡待望という形をとることがあるのです。

② 秩序をもたらす

人々が同じ神話を共有することで、仲間意識を高め、スムーズな協力関係に入り、相互に善行を施しあうユートピアを部分的に現出することができます。これは人々に人生の目的と誇りを与え、アイデンティティーーの感覚を与えます。互助のシステムの創出は、奇跡と並ぶ宗教の重要な機能です。

人間は神話を共有して「仲間」をつくる

人間が動物と異なる最大のポイントは、何であれ神話を共有することで「仲間」をつくることができる点であるとも言われます。歴史的には大宗教の神話が何千万、何億という人々に同一のアイデンティティーを与え、社会の秩序と潜在的な協力体制を維持してきました。

そうした秩序を与えるために、宗教はしばしば戒律あるいは神の法で人々を拘束します。戒律は古代に生まれたものなので、必ずしも合理的ではありません(意味不明のタブー、階級差別、性差別、性指向差別などが残存している)。しかし神の権威で守られていますから変更はままなりません。ここに多大な問題があります。

また、同じ宗教の仲間だという意識は、外部に対しては排他的な意識を高めます。これはナショナリストの国民意識が外国人排斥を呼び起こすのと似ています。

③ 説明を与える

宗教は「人間とは何か?」「世界はどのように始まったのか?」「なぜ善と悪があるか?」「死んだらどうなるのか?」といった、高度に哲学的な問いに答えようともします。いわゆる神学です。

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