「コミュ力の達人」の働き方と伝え方の極意 世界基準のビジネスコミュニケーションとは

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伊藤:欧米のリーダーは、プレゼンテーションも、1対1のコミュニケーションも、コーチングも学んでいることが多いですけど、日本のリーダーはそうではないと感じることもありますね。コミュニケーションは仕事じゃないと思っているような人もいますし。

ムーギー:前述の拙書にも書いているのですが、とくに偉くなればなるほど、周りが何も言えなくなって、超絶眠たくなるようなプレゼンをしたり、誰も読まずに紙のムダ使いで森林破壊につながるような文章を書いたりしがちですからね(笑)。

国語の授業での朗読は罪深い

伊藤:日本の場合は、学校の授業のスタイルが悪因になっているかもしれないですね。海外では、自分の好きなものを見せて、それについての思いを語る「Show & Tell」のようなスタイルが定番になっていますけど、日本の授業は受け身が中心ですよね。先生が話して、生徒はひたすらノートを取るみたいな。

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ムーギー:とくに、国語の授業での朗読は罪深いですよね。例えば「ごんぎつね」を全員でただ読むだけで、何の力が磨かれるの?と思います。

別になんでもアメリカ式教育がいいとは言いませんが、それでもプレゼン能力の鍛え方に関していえば、自分が読んだ好きな本について、1人5分ずつ話すというスタイルでみんなが創意工夫できるので、そこから差がつくのも当然ですよね。

自分が発表するトピックと意見を自分で自由に決めるところから、プレゼン上達の一歩が始まるのではないかと。

伊藤:日本の教育では、「あなたはどう思いますか?」ということに向き合う機会が少ないですよね。ですから今後は、ビジネスパーソンだけでなく、大学生やもっと若い世代にも、自分の経験から発信できるようなリーダーシップやコミュニケーションを伝えていきたいと思っています。

(構成・田村知子)

ムーギー・キム 『最強の働き方』『一流の育て方』著者

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Moogwi Kim

慶應義塾大学総合政策学部卒業。INSEADにてMBA取得。大学卒業後、外資系金融機関の投資銀行部門にて、日本企業の上場および資金調達に従事。その後、大手コンサルティングファームにて企業の戦略立案を担当し、多くの国際的なコンサルティングプロジェクトに参画。2005年より外資系資産運用会社にてバイサイドアナリストとして株式調査業務を担当した後、香港に移住してプライベート・エクイティ・ファンドへの投資業務に転身。英語・中国語・韓国語・日本語を操る。著書に『世界中のエリートの働き方を1冊にまとめてみた』と『一流の育て方』(母親であるミセス・パンプキンとの共著)など。『最強の働き方』の感想は著者公式サイトまで。

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伊藤 羊一 武蔵野大学アントレプレナーシップ学部 学部長

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いとう よういち / Yoichi Ito

アントレプレナーシップを抱き、世界をより良いものにするために活動する次世代リーダーを育成するスペシャリスト。2021年に武蔵野大学アントレプレナーシップ学部(武蔵野EMC)を開設し学部長に就任。2023年6月にスタートアップスタジオ「Musashino Valley」をオープン。「次のステップ」に踏み出そうとするすべての人を支援する。また、Zアカデミア学長として次世代リーダー開発を行う。代表作「1分で話せ」は60万部のベストセラーに。

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