「コミュ力の達人」の働き方と伝え方の極意 世界基準のビジネスコミュニケーションとは
伊藤:重要なことをまず述べる、ということはとくに大事にしていますね。これは、キムさんが最新刊『世界トップエリートのコミュ力の基本』で書かれていた、「最初の1行で何が言いたいのか伝わることが重要」ということにも通じますよね。
ムーギー:ありがとうございます。文章はつまるところ、1行、一言で要約できないと、自分で何がいちばん伝えたいのかわかっていないということなので、当然のことながら、人には伝わらないものなんですよね。
伊藤さんのご著書『1分で話せ』の本質にもつながってくるところですけれど、伊藤さんのプレゼンがさまざまな場面で高く評価されてきたのは、キャッチーな言葉で一言で表現なさることが大きいと思います。
伊藤:そこはかなり意識していますね。キムさんも著書で書かれていたように、人の書いた文章を読むにはエネルギーがいりますよね。だから、最初に大事なことを端的に伝えなければいけない。
「話す」ときに意識していることは
ムーギー:「話す」ときのポイントはいかがでしょうか。伊藤さんが『1分で話せ』の中で書かれていたことで、私がとくに重要だと思ったのが、プレゼンのときには「想像してみてください」「こうだったとしたらどうでしょう」といった言葉で、相手にイメージする時間を与えるということです。
伊藤:自分が伝えられる内容は限られていますけど、そこから想像してもらうことで、無限に広がっていきますからね。
ムーギー:私の場合は、誰も誤解しないぐらいに、論理的かつ端的に書く・話すということをモットーにしています。しかしその反面、相手に想像してもらう余地を与えないようなところがあるので、勉強になりました。
伊藤:最近は、話すときに「間」を置くことも意識していますね。経営共創基盤の冨山和彦さんの話し方が好例だと思いますが、間を置くことで、自分も考えながら話せますし、聞き手もそのあいだに想像することができるんですよね。