「現代最強の経済学者」スティグリッツの挑戦状 ピケティと挑む「資本主義100年史」の大転換

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経済学「地殻変動」の中心にいるスティグリッツ(撮影:尾形文繁)
稀代の「武闘派」エコノミストが怒っている。長年、格差問題に取り組んできた、ノーベル経済学賞受賞者のジョセフ・E・スティグリッツがその人だ。
このたび上梓された『スティグリッツ PROGRESSIVE CAPITALISM』をもとに、スティグリッツとはどのような経済学者なのか、同書で示唆されているある主流派大物経済学者への野心的「挑戦状」とは何かを探る。

スティグリッツが最強経済学者である理由

一流学者たちから尊敬を集めるほどの学術的な練度、行動力、そして目的の倫理性において、ジョセフ・スティグリッツは他の経済学者を圧倒するほど抜きん出た存在である。

『スティグリッツ PROGRESSIVE CAPITALISM』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

世界中を飛び回る彼にとって象牙の塔ほど似合わないところはない、そんな印象があるが、若い頃には研究室に寝泊りしすぎたために大学側からアパートの契約書の提出を求められたという伝説的な研究の虫であり、MITが誇る当時の二枚看板、ポール・サミュエルソンとロバート・ソロー(ともにノーベル経済学賞受賞学者)に認められた、見紛うかたなき理論家でもある。

そして彼の理論は実践されるためにある。どこにでも出かけて行き、経済学者にも専門外の者にも丁寧に熱心に(時に憤慨しながら)考えを伝える。

学者以上に学者らしく、それでいて“学者風情”とはまったくかけ離れている。実際、行動だけを追うAIが分析をすれば、活動家と見紛うのではないだろうか。

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