ダメなリーダーほど「事なかれ主義」に陥る理由

幼稚な「集注欲求」に囚われていませんか?

もし「理解」が自分の心の琴線にまで届き、深い「納得」が生じていれば、自分自身の感情や気分も落ち着き、心の迷いがなくなってきます。そうなって初めて人間は、最高の能力を発揮することができます。おのずと部下を説得する言葉にも、説得力が生じるのです。

例えば、当座だけを見てみれば自分の部署が貧乏くじを引いてしまうような決断について、部下を説得しなければいけない。そのときに、もしもそのことに自分自身が納得していなければ、とても「全体のために、申し訳ないけれど今は我慢してほしい」と口にすることはできないし、部下の心を動かすことにはつながらないでしょう。

パワハラは、「納得していないリーダー」の下で起きる

リーダー自身が納得していなければ、部下を説得することはできない。

このことは裏を返せば、「自分が納得する」というステップを踏んでいない「命令」はすべて、パワハラの温床となるということです。例えば、部長から無理難題を頼まれた課長が、自分自身がその命令にまったく納得できていないのにもかかわらず、「命令だから」という理由だけで部下に仕事を押し付けたとします。

命令を受けた部下は、なんとなく命令を下している自分の上司自身が、腹の底から納得していないことを感じ取ります。そうなると、当然モチベーションを高く保って仕事をすることはできないでしょう。

一方、そういう仕事の振り方をしてしまった課長にも、「自分自身が納得できていないまま、部下に命令を下してしまった」という後ろめたさが生じます。これを真正面から受け止められればいいのですが、多くの場合そうはなりません。

こういった後ろめたさが生じると、人間の脳は、可能な限りそういう事実(自分自身が納得いっていないのに、部下に押し付けたこと)を無意識に否認するようになります。否認されて鬱滞(うったい)したエネルギーは、例えば虚勢、イライラ、不機嫌、無視、皮肉、八つ当たり、さらにはいじめにまで、時間差を経て、形を変えて表出することが多いのです。

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