
地産地消型なので関税の影響は少ない
――トランプ関税で世界経済が大混乱に陥っています。
塗料ビジネスは基本的に経済成長とともに安定的に伸びる。われわれの事業の主力は建築用で、新築向けよりも塗り替え需要が中心で比較的安定している。地産地消型なので関税の直接影響も少ない。原料の中には関税で価格が上がるものあるが、原油価格の低下というポジティブな側面もある。
とはいえ、世界経済が大混乱して各国がマイナス成長になれば、やはり影響は免れない。住宅の買い替えや塗り替えを先延ばす動き、新築着工の減少も出てくる。われわれの売り上げ全体に占める割合は10%未満だが、自動車用塗料も厳しくなるだろう。
それでも、他の産業に比べれば相対的に底堅いことは間違いない。
――マイナス影響は避けられないとして、どの程度を見込んでいますか?
今は裏付けのある数字を出せない。影響を織り込んだ数字を出した以上、市場環境を言い訳にしないでやりたいと思っている。
――積極的なM&Aを実行してきましたが、経済環境の激変によって裏目に出ませんか。
もともと、M&Aでは極力リスクを抑えるように対象を厳選している。買収するのは利益率が高く、キャッシュフローが出ていて、経営陣が優秀な企業だけだ。M&Aが目的化すると高値掴みになりがちだが、投資銀行時代に多くの失敗例を見てきたので気をつけている。
過度に慎重になってリスクテイクをしないこともよくないので、健全なリスクテイクを追求している。
――3月に買収を完了したAOCはアメリカの会社です。大丈夫ですか。
その質問は「アメリカは大丈夫か」というのと同じだ。AOCは特殊なコーティング剤のメーカーで、インフラの保全を担っている。アメリカのインフラは老朽化しており、投資は絶対必要になる。不況でも利益を出してきた会社だ。
AOCが加わることで、今期はEPS(1株当たり利益)が12.5円上がる。これが多少落ちるとしてもAOCが赤字になるようなことはない。借入金は増えるが、AOCはキャッシュも生んでいるのでリスクは抑えられている。
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