ADHDに「適した職業」「適さない職業」の決定的差 マルチタスクな机仕事はオススメできない
ADHD(注意欠如多動性障害)の人の落ち着きのなさは、一定程度は、本人の努力によって抑えることができます。落ち着きなく身体を動かしてしまう症状を抑えるために、いつも米粒や粘土を持ち歩き、手で丸めている患者がいました。これはスポーツ選手が緊張する場面でガムをかみ、リラックスに努めるのと似たものかもしれません。
多くの場合、大人になると、はた目に明らかなほどの多動症状は収まっています。これは本人の意識的な努力によるものです。しかし「じっと座っていないといけない」状況下で、内面の緊張や落ち着きのなさが高まることも珍しくありません。
もっとも、ADHDの人は、体を動かすことで内面の落ち着きのなさを解消しているため、それを完全にやめてしまうのもストレスになります。周囲の邪魔になるほどの貧乏ゆすりや騒音は困りますが、粘土を丸めることは問題ないですし、ゴムボールなどで手遊びをするぐらいなら、周囲から認められるでしょう。職場で意味もなく歩き回ったり、一方的に話しかけたりするのも、多動傾向の名残の症状かもしれません。
ADHDの課題
さらに、「気が散りやすい」のも、職場におけるADHDの課題です。取り組むべき仕事が目の前にあるのによそ見をしたり、席を立ってタバコ休憩やコーヒー休憩に行くことはしばしばみられます。やらないといけないとわかっていても、なかなか手がつけられないのです。「これでは仕事が進まない。集中しなくちゃ」などと自分に言い聞かせたところで、なかなか改善されるものではありません。
ADHDの人は、興味のあることには「過剰集中」によって没頭し大きな成果をもたらすことがある一方で、興味のないことには、まったく集中できず、周囲に関心が向いてしまうので気をつける必要があります。