ADHDに「適した職業」「適さない職業」の決定的差 マルチタスクな机仕事はオススメできない

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また、強い衝動性のため、仕事をしている際に、ほかのことに気を取られると我慢ができずにそちらに関心が奪われてしまうのも、ADHDの特徴です。他のことをしてしまうので、肝心の業務がいつまでたっても進まないといったことになりかねません。

しかし、工夫のしようはあります。例えば、1時間集中するのが難しいなら、「○枚書類を処理したら休憩」「1分だけでいいから机に向かおう」などと細かく目標を設定し、それをクリアするたびに休憩を挟むようにすると、モチベーションを保ちやすくなります。

また、「仕事中についネットを見てしまう」ならネットを一時的に切断してしまう、「エアコンや周囲の雑談などの音が気になる」なら耳栓をする、個人用のパーティションをつける、などの工夫で改善することがあるのです。

普通の人の「うっかり」と、ADHDの人の「うっかり」は、表面的には似ている現象だと思います。具体的には、「忘れ物をする、落とし物をする、余計なことに気を取られる」などです。

ただし、普通の人のうっかりはあくまで一時的なものでしょう。場所や状況が限定的で、一過性です。

「羽田と成田」を間違えることも

一方、ADHDの人は、子ども時代も思春期も、大人になってからも、あらゆる時期に不注意の症状が継続的に表れているのが特徴です。例えば、幼児期においては、「積み木で遊んでいたかと思うと、すぐ他のことに気を取られミニカーで遊び始める」、児童期以降は、「帽子やカバン、教科書などを学校に忘れる」「家族と外出したときに迷子になる」。成人になっても、「スマホをよくなくす、大事なアポを忘れて別の予定を入れてしまう」などが典型例になります。

また、ADHDでない人の「うっかり」は、悪い条件が重なったときに起こります。さらに、どうでもいい用事を忘れることはあっても、大事な用事は決して忘れないでしょう。その区別は明らかです。

しかしADHDの人は、大事な場面でも、そうでない場面でも、同じように不注意が表れることが珍しくありません。過去には「羽田空港に行くはずが、成田空港に向かってしまう」という患者もいました。普通、それほど重要なことを間違えることはないでしょう。高学歴で有名大学を卒業している人であっても、ADHDではこうした不注意が起こるのです。

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