〈新情報〉大手ホテル15社に公取委が警告へ、情報交換は宿泊部門だけでなく「宴会・婚礼部門」でも実施していた

ホテル業界にも「競争の番人」が乗り出してきた――。
公正取引委員会は、帝国ホテルやニュー・オータニなど都内の大手ホテル15社に独占禁止法違反(不当な取引制限)のおそれがあるとして、近く警告を出す方針を固めた。
客室稼働率や今後の客室単価の設定方針といった「機微情報」の交換を問題視し、横とのつながりが密接なホテル各社の長年の慣行にメスを入れる。また、こうした情報交換は宿泊部門にとどまらず、宴会・婚礼部門でも行われていた。
宿泊の客室単価をめぐっては、15社の営業担当らが「フロント・リザベーション(FR)会」という名目で定期的に集まり、情報を交換していた。
調査では、情報交換を通じた宿泊料金の引き上げや料金水準の維持までは確認できておらず、行政処分の「排除措置命令」や「課徴金納付命令」ではなく「警告」を出すとみられる。
料理や飲み物、室料などの売り上げを共有
東洋経済の取材では、宴会・婚礼部門でも情報を交換していたことが判明した。
関係者から入手した資料には、警告対象となった15社のうち、12社のホテル名が記されていた。コロナが猛威を振るっていた2021年春の数字で、宴会・婚礼部門の料理や飲み物、室料の売り上げなどを共有していた。
いずれも一般には公開されていない情報だ。15社に事実関係を尋ねたところ、「調査中のため回答を差し控える」とのコメントが相次いだが、一部のホテルは認めた。次ページの図にあるように情報開示の姿勢の差が浮き彫りになった。
宴会・婚礼部門の情報交換の名称は「セールス・マネージャー・カンファレンス(SMC)」。情報交換は月に1度、定例会は3カ月に1度のペースで実施しており、今年3月末で解散したという。
ホテル幹部は「それぞれのホテルのハード面や立地などが異なることから、宿泊同様、値付けへの反映に使用していない」と説明する。