館内の端末で検索したキーワードは「カレー 神田」「カレー 神保町」の2通り。いざ出てきた誌面を俯瞰してみると、時代の“断層”のようなものがくっきり浮かび上がった。なんといっても意外だったのが、2000年より前は「神保町=カレーの街」というのがそれほど浸透していなかったことだ。
1990年代後半は「知る人ぞ知る」
1990年代前半時点では神保町=隠れたカレー街、という雰囲気だ。1990年代後半になっても、まだ「知る人ぞ知る」という扱い。そもそも1990年代は検索にヒットするもの自体がかなり少なかった。
当時すでにカレーの名店はいくつもあっただけにカレー好きには「神保町=カレーの街」というのは周知の事実だったかもしれないが、一般的にはまだほとんど知られていなかったのだろう。
しかし2000年代初頭、神保町カレー特集のラッシュが起こり、状況は一変する。
・「神保町はカレーの超激戦区。『この一角だけで35軒以上あります』」(散歩の達人 2000.04)
このほかにも多くの特集がこの時期に組まれており、こうして集中的に取り上げられることで、神保町=カレーという認識はかなり一般化したのではないか。だから、いつからカレーの街になったかという問いに対しては、マスレベルに浸透し始めたこの2000年代初頭というのが1つの答えになるかもしれない。
では、神保町は「なぜ」カレーの街になったのか。きっかけの大きな1つと考えられるのが、1978年に神保町にオープンしたボンディだ。当時珍しい高級路線の欧風カレー店でありながら、開店から半年ほどで行列のできる大人気店に。
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