それでは、蚊やダニなどによって媒介される感染症の日本での感染者数をみてみましょう。ここで紹介する感染症は、感染症法で4類感染症(動物、飲食物などを介して人に感染し健康に影響を与えるおそれがある感染症)に区分され、診断をした医療機関は直ちに保健所に届け出る必要があり、全数が把握されています。
2014年に162人の国内流行があったデング熱
厚生労働省サイト「デング熱に関するQ&A」によると、デング熱の媒介能力をもつ主たる媒介蚊のネッタイシマカは国内につねにいるわけではありませんが、媒介能力をもつヒトスジシマカは、日本のほとんどの地域に生息しています。ヒトスジシマカの生息域は1950年まではおおむね関東地方あたりまでしか確認されていませんでしたが、現在では青森県まで広がっています(国土の40%)。
さらに、2014年に公表された国連による「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)報告書」による最も温暖化が進むシナリオでは、100年後に気温が4度前後高くなると予測されており、その場合に生息域は、ほぼ全国(同75~96%)に広がるとされています(環境省・文部科学省・農林水産省・国土交通省・気象庁「気候変動の観測・予測及び影響評価統合レポート2018~日本の気候変動とその影響~」より)。
デング熱は2014年に、1940年代以降およそ70年ぶりに162人の国内感染が確認されました。海外で感染して発症する輸入症例は、毎年数百人報告されており、その数は増加傾向にあります。治療をしなかった場合に致死率は1%程度とされ、ほとんどの場合は順調に回復しますが、2005年と2016年に、それぞれ輸入例による死亡が確認されています。
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