NBA八村塁のスピーチが抜群に効果的だった訳 プレゼンで成功する人が使う手段とは?
八村塁が使った非言語メッセージと「聞き手」視点
先頃、八村塁選手のNBAドラフト指名が話題になりましたが、プロフェッショナルのスピーカーである私が見て、注目した点がありました。
会見全体を見れば、八村選手はまだスピーチ上手とはいえません。
“You know“や“Umm”といった、日本語でいえば「えー、あー」といった「フィラーワード」も多く、大坂なおみ選手と同じく、今どきの若者風の話し方です。まだスピーチのコーチに就いた経験もないでしょう。
しかしながらNBAドラフト指名されたときの会見で、効果的だったことがあります。
1つ目は演出。八村選手は記者陣に向かって、ジャケットを広げてみせたのですが、その裏地の片側は浮世絵の富士山、もう片方はベナンの模様でした。
つまりジャケットを広げるだけで、彼は「自分は日本とベナンの血を引いていて、それを誇っている」というのを示してみせたわけです。鮮やかですね。
その後の取材でも「僕はブラックニーズ(ブラックとジャパニーズ)」と、自分のルーツをつねに語っているので、その視覚的象徴としてのジャケット使いは効果的です。
こういう“目で見せる”例では、2008年、スティーブ・ジョブズが伝説に残るプレゼンを披露してみせました。
茶封筒を持って登場して、そこからノートパソコンを取りだしてみせたのです。MacBook Airの発表でした。キャッチコピーは、「世界で最も薄いノートブック」。
これを「わずか4ミリ」という説明にとどめず、封筒に入れて見せたことで、観客をあっといわせ、商品の薄さの具体性を増し、受け手にとっての実感を増してみせたのです。
聴衆はそのノートパソコンがどれだけ薄くて軽いか、あたかも手に取ってみたように感じられたでしょう。こうした言葉だけでなく視覚的な演出はプレゼンやスピーチを劇的に印象づけてくれます。
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