ファッショントレンド、仕掛人は誰だ? 高級ブランドがトレンドを発信し続ける理由

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トレンドの仕掛人は、誰だ?

ファッション誌や新聞などの紙面をにぎわす“今季のトレンド”。これを発信しているのは、ズ・バ・リ、各媒体、もっと言えば編集部です。逆に言えば、ファッション業界の世界的権威やどこかの組織が発信しているものではありません。

あくまでも、特定の雑誌やメディア媒体のフィルターを通った、これが“トレンド”だと思われる、的な編集記事なのです。つまり、極端に言うと(あくまでも極端にですが)、その記事や情報を発信している個人や組織の見解、ということになります。

とは言え、“トレンド”特集記事は、信憑性がありますよね。その辺りの裏付けとなる情報については後半で説明しますが、その前にビジネス的なからくりの正体を暴きましょう。ここで、登場するのが、影の黒幕。というほどではありませんが、本当にメリットを享受する人たちの存在です。

それは、ファッションブランドです。

もちろん、メディアとしても購買につながるような魅力的な誌面を作り、1部でも多く売り上げ部数を伸ばす、という大前提は存在します。なので、メディア媒体のメリットというのも、当然、存在しますし、皆さんも理解しやすいと思います。

一方で、「これからはこれがはやりますよ~、このアイテムを買っておしゃれの仲間入りをしましょう~」とあおり、消費者を実際の購買に駆り立て、本来得するのは、リテーラー(ここでは、ファッションブランド)です。

では、なぜ、メディアはブランドのためにそんなことをするのでしょうか? 

ファッションブランドとメディアの関係

単純にそれが読者にとって関心のあることだから、という純粋な理由。そして、もう一つが、ファッション業界と雑誌などのメディアは、“広告”によって相互補完の関係にあるからです。

要は、ブランド側が広告費を出し、メディアは商品を格好良く紹介し(=宣伝)、売上という形でブランドに利益がもたらされ、ブランドはさらにまた広告費という形でメディアにお金を還元する。そういうサイクルが成り立っています。

最近は、雑誌などの広告ページが明らかに多いですよね。ビジネスエリートが中心のこのサイトの鋭い読者のみなさんは、広告収入が生命線であることはお察しでしょうから、ここでは具体的な広告例を省略させていただきます。

さて、ここからは、ファッション業界の仕組みについてです。なぜ、ファッション業界はメディアを通じて、トレンドを発信するのか。それはつまり、ファッション業界の根本的なビジネスモデルを理解することでもあり、業界の真髄に触れることでもあります。

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