最多は55~59歳、年9.9万人離職する介護の実態 「介護と仕事」の両立なんとも厳しい現実

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超高齢社会となり、親の介護で仕事に制限がかかってしまう働き手は増加傾向にある(写真:Mills/PIXTA)
長寿化や少子化の進展にともない、介護をしながら仕事をする人が増えています。そのなかで、介護のために離職や転職、働き方を変えざるをえない人や、疲労やストレスにより仕事が思うように進まず、仕事と介護をうまく両立できていないと感じる人もいるようです。
本稿では、総務省の「就業構造基本調査」(2017年)、明治安田総合研究所とダイヤ高齢社会研究財団の共同調査「仕事と介護の両立と介護離職」(2014年)から、「働く介護者と離職者の実態」を紹介します。

働く介護者の実態

総務省「就業構造基本調査」(2017年)によると、有業者のうち介護をしている人(※)(以下「介護有業者」)は2017年で346.3万人(男性151.5万人・女性194.8万人)となっており、前回調査(2012年)よりも全体で55.3万人、男性で20.6万人、女性で34.7万人増加しています。

年齢階級別にみると55~59歳が73.9万人(男性31.2万人・女性42.7万人)と最も多く、有業者のうち50代後半の男性9.0%・女性15.9%が仕事をしながら介護をしている状況です。

(※)「介護をしている」とは、日常生活における入浴・着替え・トイレ・移動・食事などの際に何らかの手助けをする場合を言い、介護保険制度の要介護認定を受けていない人や、自宅外にいる家族の介護も含まれる。

それでは、介護をしながら働く雇用者は、どれくらいの頻度で介護に従事しているのでしょうか。介護をしながら働く雇用者の介護日数を雇用形態別にみると、正規職員の男性では「月に3日以内」の割合が32.5%と最も高く、「週に1日」の割合が22.6%で続きます。

一方、女性では同じ正規職員であっても「週に6日以上」の割合が30.7%と最も高くなっています。また、非正規職員では男女とも「週6日以上」の割合が最も高く、男性29.8%・女性32.9%となっています。

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