上野千鶴子「私が東大祝辞で伝えたかったこと」

MeTooと東京医科大問題で世論は耕された

東京大学の入学式での祝辞で、同大学名誉教授の上野千鶴子さんが伝えたかったこととは…(撮影:梅谷秀司)
4月、東京大学の入学式で同大学名誉教授の上野千鶴子さんの祝辞が大きな話題となった。東京医科大の入試における女子差別問題、#MeToo運動に代表される性暴力の問題。そして何より、大学入学で喜ぶ新入生に「あなただけの努力でここまできたわけではない」ことを示しつつ、東大内のジェンダーギャップを明らかにした。
祝辞は即日、東大のウェブサイトに掲載され、多くのメディアが紹介した。しかし周囲の騒ぎをよそに、本人は「ずっと前から言っている、当たり前のことをエビデンスに基づいて言っただけです」と落ち着いている。日本を代表するフェミニストが祝辞で性差別を告発するに至った経緯とは。そして「当たり前のこと」とは一体何なのか。上野さんのこれまでの発言を多数収録した『上野千鶴子のサバイバル語録』の名言とともに紹介する。

祝辞は尊敬する方に「やりなさい」と背中を押され

■上野語録1:人の器と、理解力
人は自分の器に応じた理解力しかないからね。
『快楽上等!』

――東大入学式の祝辞は、日本国内の性差別を問題視する人をはじめ、多くの男女から熱狂的に支持されました。また「上野氏に祝辞を依頼した東大の意思決定」を評価する声もSNSで多数見かけました。一方で、入学式の祝辞という形で日本の性差別を指摘したことに拒否反応を示す人もいました。

上野千鶴子(以下、上野):東大から祝辞の依頼を受けたときは「ご冗談でしょう?」と思った。最初は断ろうと考えました。私は入学式も卒業式も、儀式というものがキライな人間ですから。

でも、学内には水面下で私をノミネートするために尽力してくださった方々がいることがわかりました。また、尊敬する方に相談したら「やりなさい」と背中を押されました。その方は東大嫌いなのに、勧めてくださった。だから受けることにしました。

祝辞の原稿は事前に大学へ提出していました。だから式の直後に大学のウェブサイトにも掲載されました。東大側から指摘を受けたのは、数字に関する訂正のみ。内容については何の干渉もありませんでした。感謝しています。

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