定年後が忙しい、84歳のとにかく柔らかい発想

"現役プログラマー"の世界の広げ方

84歳の現役プログラマー若宮正子さんが、定年後にやりたいことを見つけるコツについて説きます(写真提供:中央公論新社)
「定年後に何をしていいかわからない」――。そう嘆く大人たちに希望とヒントをくれるのは、84歳の現役プログラマーとして知られる若宮正子さんだ。
若宮さんは81歳のときにスマートフォン向けゲームアプリ「hinadan(ひなだん)」を開発。アメリカ・アップル本社の世界開発者会議に招待され、ティム・クックCEOに絶賛されたことで一躍脚光を浴びた。彼女が考える、定年後にやりたいことを見つけるコツとは。
(本記事は若宮さんの著書『独学のススメ』から一部を抜粋し、加筆修正したものです)

例えば、まわりのひとが喜ぶこと

定年後、やりたいことがない。そんな悩みを抱えている方もおられるかもしれません。ヒントになるのは、「自分がなにをしたら、まわりのひとが喜んでくれるだろうか」ということ。自分ができることと、ひとが喜ぶことの接点を探すのです。

誰かに喜ばれたり感謝されたりしたら、うれしくて「もっとやろう」という気持ちになる。これはもう立派な「やりたいこと」です。

プログラミングの世界に足を踏み入れて知ったのですが、プログラミングが得意なひとでも、作りたいものがないというひとはけっこういるんですね。そういうひとを見ると、「もったいない!」と思います。プログラミングこそ「ひとが喜ぶこと」と連携しやすいからです。

私が見学に行った岐阜県の工業高校と盲学校が協力した企画でのこと。工業高校の電子科の生徒さんたちというのは、いずれは大企業のプログラマーになるようなひとたちです。でも夏休みなどは、部活でゲームアプリなどを作って楽しんでいます。そこで、工業高校の先生と知り合いだった盲学校の先生が、「うちの生徒たちにもなにか作ってくれませんか」と声をかけたのだそうです。

視覚障害者向けのアプリも、存在してはいます。でも、盲学校に通うお子さんたちの「目の見えなさ」というのは、一人ひとり違うんです。真っ暗でなにも見えないお子さんや光だけはぼんやり見えるお子さん、視野が一部欠けているお子さんなどさまざまな状態がある。でも、「視覚障害者」としてひとくくりにされているのです。だから、それぞれの障害を持っているどんなお子さんも使いやすい・楽しめるアプリというものはありません。

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