「大学で遊んだだけの人」が会社で行き詰まる訳 池上彰×佐藤優「今の大学生が学ぶべきこと」
企業にOJTの余裕がなくなった
池上彰(以下、池上):今回の教育改革では、大学の問題は強く意識されていますよね。教育再生実行会議の「第四次提言」では、大学教育のあり方について、次のように指摘しています。
まったく、おっしゃるとおりだと言わざるをえないのですが。
佐藤優(以下、佐藤):ある意味、大学に対する期待が非常に高いわけですよね。その背景には、官庁でも企業でも、仕事に必要な技能を身に付けさせるOJTができにくくなっているという事情もあるように思うのです。
池上:オン・ザ・ジョブ・トレーニングを施す、つまり現場の実務で仕事を覚えさせることが難しくなっている、と。
佐藤:先日、ある地方ブロック紙のモスクワ支局長をやっていた記者に会ったときに、「新聞社の外信部への就職を希望する学生がいたら、何をやれとアドバイスしたらいいか?」と聞いてみたのです。すると、返ってきた答えは、「語学をやるべき」でした。
なぜかというと、自分が駆け出しの頃には、語学留学の制度があった。しかし、今それをできる新聞社は読売と朝日と日経新聞など大手しかない。それ以外の会社は推して知るべしで、留学させる体力自体がなくなった。
だから、逆に大学時代にスペイン語でも中国語でもロシア語でもいいから、そこに特化して一定のレベルに達していれば、採用において有利になるし、外信部へも行きやすい、と。そういう話なんですよ。