定年後が忙しい、84歳のとにかく柔らかい発想 "現役プログラマー"の世界の広げ方
プログラミングを使って改良された罠で、勝山市全体の36%のイノシシを捕獲することができたのだとか。谷川さんはプログラマーではないですが、イノシシの生態にはめっぽう詳しい。そういうひとがプログラミングを少し学ぶと、こんなに有用なものが作れてしまうんです。
これからは、現場経験の少ない大企業が「こういうものを売りたい」と製品を開発するのではなく、個人が自分に必要なものを作る時代がやってくるのではないかと思います。
アプリ甲子園という、中高生のためのアプリ開発コンテストがあります。2016年に優勝したのは、「Find Family(ファインドファミリー)」という認知症のお年寄りを介護するひとをサポートするアプリを作ったOくん。「Find Family」は靴にセンサーを埋め込み、アプリで位置を表示することができるというもの。埋め込む機器も自分で開発してしまったのだから、すごい高校生ですよ。
Oくんには、認知症のひいおじいさまがいました。徘徊を繰り返すひいおじいさまを、おばあさまが必死で探しているのを見て、なんとか助けられないかと思ったのです。それが、アプリ開発のきっかけになりました。
おばあさまと話し合いながら、「靴を履いているかどうかがわかるようにしよう」「靴を光らせることができたら、まわりのひとにも見つけてもらいやすいのでは」と機能を追加していったのだそうです。
なんだかこういうのって、従来のプログラミングのイメージと違いませんか? 暗い部屋で、日がな1日コンピューターの前に座ってカタカタやっている。そういうひとには、こんなアプリは発想できないでしょう。
まずは、ひとの助けになりたいという気持ちが先にある。そして、自分の体験をもとにして、プロダクトを作る。それが、本当に役立つものを作る秘訣です。
シニアのための電子工作セミナーを開く
イノシシの罠も、認知症のひいおじいちゃんを見つけやすくする機器も、電子工作と呼ばれるジャンルのものづくりです。この電子工作はとってもおもしろくて、可能性のある分野。私も今、電子工作を子どもに教える授業のサポートをしています。
子どもたちは電子工作が大好き。毎回、キラキラと目を輝かせて取り組んでいます。この教室で必要になるのが、電子機器メーカーなどで働いておられた元エンジニアのおじいさんたち。もうリタイアされた方々にお願いしてきていただいているのですが、毎回、おじいさんたちも楽しそうです。
元エンジニアで、電子機器の知識があるとはいえ、やはり少しは勉強が必要です。その方々も、電子工作をやるのは初めてですし、子どもたちに教えた経験もない。だから、最初は見学していただいたり、勉強会をしたりもします。そういう場があれば、まだまだ力を発揮できる方々なんです。
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