「幼稚園から物書き目指した」芥川賞作家の努力 アスリートのように執筆する上田岳弘の流儀

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芥川賞を受賞した上田岳弘さんに話を聞いた(撮影:今井康一)
本連載では、実際に数々の習慣化に成功し、結果につながる努力の仕方についてまとめた『ざんねんな努力』(共著)を上梓した川下和彦さんに、各分野で輝かしい実績を残しているフロントランナーたちから結果の出し方を引き出していただく。
第2回は『ニムロッド』で第160回芥川賞を受賞した上田岳弘さん流の努力論。そこには、別荘にこもってひらめきを待つ「文豪」というより、つねに記録の更新に挑み続ける「アスリート」のような姿があった。

作家を志した原点

インターネットに代表される「科学技術が普及した現代」を活写した作品『ニムロッド』は、芥川賞の選考委員で小説家の奥泉光氏をもって「上田作品は完成度が高い」と言わせしめた。そんな上田さんのルーツをたどると、幼稚園時代の原体験に行き着く。

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「私が覚えている限り、いちばん最初になりたいと思った職業は『作家』です。5歳のとき、卒園のしおりに作家と書くのを照れて、将来『本屋さん』になりたいと書いたのを覚えています。

作家になりたいと思うようになったのには、当時からドキュメンタリー番組を見ていたことが大きく影響しているように思います。

私は4人兄弟の末っ子だったのですが、上の3人が同じ部屋で寝ていたので、夜8時には寝かしつけられていました。ところが、自分だけは親と一緒の部屋だったので、10時、11時まで起きてテレビのドキュメンタリー番組を見ていました。アフリカの貧困や冷戦などを特集していて、そのときの強烈な印象が作家になりたいという気持ちにつながっていったように思います」

小説とドキュメンタリーは、フィクションとノンフィクション。一見すると、真逆の関係だ。それがいったいどのようにつながっているというのだろうか。

「『現実』を伝えるのがドキュメンタリーで、誰にとっても物理的に見える映像は同じです。それを『どう捉えるか』が小説の世界、文学でできることだと思っています。『現実』を活写しながら書く内容を取捨選択し、ものの『捉え方』をつくっていく。目の前の『現実』は変わらないけれど、自分がこうではないかと思う『捉え方』をつくれるのが小説です。

『現実』に対する一般論、定説がかならず芯を食っているとは限りません。私はいつも、『芯を食うなら本当はこうじゃないの?』と思いながら小説を書いています。子どもの頃は当然ここまで考えてはいませんでしたが、幼心にドキュメンタリー番組を観て、『現実』を人に伝えたいという思いが、作家になりたいという気持ちにつながっていたのかもしれません」

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