「外国人最年少」でミシュランを取った男の素顔 料理人・松嶋啓介とはいったいどんな人物か

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2006年に外国人最年少でミシュランの星を獲得した松嶋啓介さんに話を聞きました(撮影:梅谷秀司)
本連載では、実際に数々の習慣化に成功し、結果につながる努力の仕方についてまとめた『ざんねんな努力』(共著)を上梓した川下和彦さんに、各分野で輝かしい実績を残しているフロントランナーたちから結果の出し方を引き出していただく。
第3回は、2006年に外国人最年少でミシュランの星を獲得、2010年にはフランス政府よりシェフとして初かつ最年少で「芸術文化勲章」を、2016年には同政府より「農事功労章」を受勲するという偉業を成し遂げてきた松嶋啓介さん。その背景には、「人と競争をしない」「人と同じことをしない」という独自の生き方があった。

料理の世界を目指したわけじゃない

料理の世界において次々に功績を残してきた松嶋さんだが、意外なことに、シェフになりたいと思ってなったわけではないと言う。

「ぼくは“料理の世界”を目指したわけではありません。“人と違う世界”を目指したんです。料理人になったのもたまたまです。祖父が福岡で大きな農家を営んでいて、新鮮な野菜や果物、絞めたばかりの鶏などを食べて育っていたので、味覚が敏感でした。

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それで、母から『そんなに味にうるさいなら料理でもやったら? コロンブスが好きなら、フランス料理とかよかっちゃないと』と言われ、『フランスか。だったら、海外に行ける。人と違うことができる』と思ったのが料理人になったきっかけでした」

とにかく人と同じでは嫌だ。人と違うことがしたい。松嶋さんがそう考えるようになったのは、自身が生まれ育った環境の影響が大きい。

「父方も母方も男性が多い家系で、自分が生まれたときも『また男かぁ』という感じだったと思います。幼心に、男ばかりの家族や親戚の中で居心地の悪さを感じると同時に、人と違うことをしないと周りの気を引けないと考えるようになっていきました。そして、小学校5年生のときにコロンブスの漫画伝記に出会って、『これだ!』と思ったのです」

まだ海の向こうには魔物がいると信じられていた時代、コロンブスが「これまでに誰もやってないことをしてやろう」と航海に出たように、20歳の松嶋啓介は「すでに日本人のいるお店では働きたくない」と考え、単身フランスへと飛び出していった。

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