労働経済学の立場からの説明を考えると
労働経済学の立場からすれば、定年制度の理論的な存在理由を示したラジアーの理論から導けるだろう。
右の図は、この理論のエッセンスを示したものである。社員の賃金カーブが企業への貢献度を左下から右上に横切る形になっている場合には、定年が必要だという理屈である。
つまり企業は、社員が若いときには、貢献度よりも低い賃金を払い、その差異の部分を中高年になったA点以降に付加して支払っているというのである。これが働かないオジサンに実際の貢献度以上の給与が支払われている理由だということになろう。
説明概念としてはシンプルでわかりやすい。ただ、働かないオジサンの課題には、単に給与の配分の問題だけではなく、会社に対する中高年社員の「既得権」的なものが絡んでいる。
窓際族という言葉が昔はあったが
バブル期までは、窓際族という言葉が残っていた。私は、二十数年前に、窓際族を自称していた総合商社の社員と一緒に仕事をしたことがある。当時、その総合商社の人事課長に会う機会があったので、「あまり働いていないように見える社員にも高い給与が支払われているのはなぜですか?」と聞いたことがある。
その人事課長は、「彼らは若い頃にモーレツに働いたので、会社は元を取っている。だから帳尻はあっているのだ」と説明してくれた。そのときは、なるほどとは思ったが、バブル期を過ぎた現在、若手社員を説得する理由としては弱いだろう。しかし、過去に会社に貢献したことにより、働きよりも高い報酬を得ることができるという発言は、大切な示唆を含んでいる。
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