(司会・構成:佐々木紀彦)
【対談(その6)はこちら】
――前回は、「成熟社会でも食える4つのエリア」というテーマで対談していただき、「今後は、介護・福祉、教育、住宅、宗教のエリアが有望」という話になりました。ただ、未だに有名企業志向の強い日本で、こうした業界を目指す人間は増えていくのでしょうか。
渡邉:やっぱり大企業から内定もらった人が、友達、親戚一同から、評価されるみたいなのが現状ですからね。
藤原:「財閥系に決まりました」みたいな。お父さんも娘の結婚式が終わるまでは、その肩書きを残してもらうために、ブランド名が冠された関連会社に行きたがるでしょう。日本の財閥好きは本当にすごい。日本で財閥が解体したというのは、嘘だよね。歴史の本には「財閥解体」と書いてあるけれど、実際は全然そうなっていない。
渡邉:とくに団塊の世代は、そういう価値観に完全に染まっている。それが変わることはないと思う。団塊の世代はあと20年くらい生きるので、それまで日本は、今の価値観から変われないんじゃないですか。
藤原:団塊の世代(1947〜49年生まれ)は約800万人いて、その配偶者や前後の世代も合わせると、1000万人ぐらいになる。その人たちがあと2年で65歳以上になるでしょう。この1000万人の人たちが、第二の人生をどうすごすかは、ものすごい変化をもたらすんですよ。その変化の中身について私はまだ予言していないんだけど、渡邉さんはどうなると思う?
渡邉:彼らは年金を十分にもらえる世代で、勝ち逃げしている。だから、趣味をやったり、一日のんびり過ごしたり、これまでと変わらず生きていくんじゃないですか。
藤原:私の父親は、団塊世代の上の世代。その世代は、ある程度おカネを持っていても、この10年くらい、ほとんど使ってないんですよ。どこか旅行に行くのも面倒くさくて、孫が行くと言えば付いて行くといった感じ。自分のためにおカネを使わないんですよ。団塊の世代はどう? おカネ使う?
渡邉:使わないですよ。おカネを持っていないと、子どもから見放されるという恐怖心があるんじゃないですか。おそらく墓場まで貯金を持っていくでしょう。