渡邉:藤原さんの世代は、バブル崩壊前に就職した世代なので、普通に企業のサラリーマンをやってきた人が圧倒的に多いですよね。
藤原:われわれはすごく優遇されたし、企業に入ってからも大事にされたと思う。直前にオイルショックがあって、ガーッと採用を絞った時だから。リクルートでもわれわれの世代は、大卒の新入社員が30数人しかいなかった。
それが10年もしないうちに、新卒採用がピーク時には1000人にまで膨らんだ。1000人もいたら、会社に大事にされるわけないよね。だから、われわれは高度成長の勢いに乗ったことも含めて、非常にハッピーでラッキーだった。
渡邉:ただ、リクルートはすごく特殊な会社ですよね。あまり普通のサラリーマンの参考にならないような気もするんですが。
藤原:まあ、そうかもしれないね。
渡邉:藤原さんの話は、ちょっとハイエンドすぎるというか、あまり夢がないような・・・。
藤原:なんで? 災害救助予備隊に行くのは、夢あるじゃんよ。
渡邉:自分のお子さんが、災害救助予備隊に入ったり、宗教団体で働いたりするのはOKですか?
藤原:喜んで出しちゃうよ。というのも、1、2年間、災害救助予備隊で過ごせば絶対、自炊できるようにはなるでしょ。自分で洗濯もできるようになる。今の時代、大学生として普通に自宅から通っていると自立した生活はできるようにはならないから。
おそらくすべての親は、子どもを自宅から出して、自立した生活をさせたいという願望を持っていると思う。もちろん、一生、災害救助予備隊に勤めるのはきついかもしれないけど、1、2年であれば親も歓迎すると思うよ。
渡邉:留学みたいなイメージですか。
藤原:そう。4人で同じ部屋を使うシェアハウス生活を強制されれば、精神的にも強くなる。これだけ豊かになってしまうと、それぐらいのことをやらないとダメ。はっきり言うと、豊かになると人は育たなくなってしまう。実家にいるかぎり、親が洗濯もやってくれて、食べ物も出てきて、おカネにもさほど困らないわけだから。
渡邉:ユニクロって、社員に一人暮らしさせるんですよ。実家から通えるところに職場があっても。
藤原:サムソンなんて、会社のビルの上層階に社宅があるんだよ。サムスン帝国はオーナーの持ちものだから、そこで働く人は、使用人みたいな感覚だと思うよ。かつての丁稚奉公に近いイメージだよね。
渡邉:へー、それはすごい。
(撮影:梅谷秀司)
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