団塊世代が引退したら、日本は変わるのか? 藤原和博(その7)

✎ 1〜 ✎ 6 ✎ 7 ✎ 8 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

渡邉:藤原さんの世代は、バブル崩壊前に就職した世代なので、普通に企業のサラリーマンをやってきた人が圧倒的に多いですよね。

藤原:われわれはすごく優遇されたし、企業に入ってからも大事にされたと思う。直前にオイルショックがあって、ガーッと採用を絞った時だから。リクルートでもわれわれの世代は、大卒の新入社員が30数人しかいなかった。

それが10年もしないうちに、新卒採用がピーク時には1000人にまで膨らんだ。1000人もいたら、会社に大事にされるわけないよね。だから、われわれは高度成長の勢いに乗ったことも含めて、非常にハッピーでラッキーだった。

渡邉:ただ、リクルートはすごく特殊な会社ですよね。あまり普通のサラリーマンの参考にならないような気もするんですが。

藤原:まあ、そうかもしれないね。

渡邉:藤原さんの話は、ちょっとハイエンドすぎるというか、あまり夢がないような・・・。

藤原:なんで? 災害救助予備隊に行くのは、夢あるじゃんよ。

渡邉:自分のお子さんが、災害救助予備隊に入ったり、宗教団体で働いたりするのはOKですか?

藤原:喜んで出しちゃうよ。というのも、1、2年間、災害救助予備隊で過ごせば絶対、自炊できるようにはなるでしょ。自分で洗濯もできるようになる。今の時代、大学生として普通に自宅から通っていると自立した生活はできるようにはならないから。

おそらくすべての親は、子どもを自宅から出して、自立した生活をさせたいという願望を持っていると思う。もちろん、一生、災害救助予備隊に勤めるのはきついかもしれないけど、1、2年であれば親も歓迎すると思うよ。

渡邉:留学みたいなイメージですか。

藤原:そう。4人で同じ部屋を使うシェアハウス生活を強制されれば、精神的にも強くなる。これだけ豊かになってしまうと、それぐらいのことをやらないとダメ。はっきり言うと、豊かになると人は育たなくなってしまう。実家にいるかぎり、親が洗濯もやってくれて、食べ物も出てきて、おカネにもさほど困らないわけだから。

渡邉:ユニクロって、社員に一人暮らしさせるんですよ。実家から通えるところに職場があっても。

藤原:サムソンなんて、会社のビルの上層階に社宅があるんだよ。サムスン帝国はオーナーの持ちものだから、そこで働く人は、使用人みたいな感覚だと思うよ。かつての丁稚奉公に近いイメージだよね。

渡邉:へー、それはすごい。

(撮影:梅谷秀司)

渡邉 正裕 My News Japan編集長

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

わたなべ まさひろ / Masahiro Watanabe

ニュースサイト『MyNewsJapan』(mynewsjapan.com)のオーナー、編集長、ジャーナリスト。1972年東京生まれ。慶應義塾大学総合政策学部卒後、日本経済新聞記者、日本IBM(旧PWCコンサルティング)のコンサルタントを経て、インターネット新聞社を創業。一貫して「働く日本の生活者」の視点から、雇用・労働問題を取材、分析、提言。単行本は『企業ミシュラン』シリーズのほか、『10年後に食える仕事食えない仕事』『若者はなぜ「会社選び」に失敗するのか』など多数。
ツイッター: @masa_mynews
ブログ: www.mynewsjapan.com/blog/masa
連絡先:masa@mynewsjapan.com

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事