中高年社員は、会社に対して、何らかの既得権的なものを持っている。早期退職勧奨制度の退職金の積み増しの中には、その分が含まれているだろう。中央官庁の天下り廃止の議論が盛んだったとき、知人のキャリア官僚の何とも言えない不満げな顔つきを思い出す。
日本相撲協会の年寄(親方)になるための条件は
働かないオジサンの既得権は、どのような条件で生まれるのだろうか?
これは企業によっても違うので、一律に述べることはできない。皆さんが働いている会社でも、オジサンに多くの既得権が残っている会社もあれば、まったくそういう権利がない会社もあるだろう。
ここでは大相撲の年寄(としより)をひとつのメタファーとして考えてみたい。年寄は、財団法人日本相撲協会の構成役員であって、親方という敬称で呼ばれている。彼らの主な仕事は、現場の力士に対する指導・監督であり、技術面の指導だけでなく、育成面の責任も負う。また協会の構成員として、各部署の職務にも当たる。働きに対して協会から報酬を受け取るという意味で、ひとつの職能集団である。
現役を引退した力士が協会に残るためには、原則として年寄(親方)になる必要がある。「財団法人 日本相撲協会寄附行為施行細則附属規定」によれば、年寄(親方)になる条件は、
(1)横綱・大関
(2)三役 一場所以上
(3)幕内 通算二十場所以上
(4)十枚目 幕内通算三十場所以上
などである。
力士としての役の高さ(序列)と、務めた場所の長さ(在籍した長さ)によって決められている。横綱・大関であれば無条件で、三役なら一場所以上、幕内ならば通算二十場所などといった具合だ。
つまり、現在の働きではなくて、過去の実績によって判断されるのだ。
よく見ると、多くの会社が採用しているポイント制の退職金算定とほぼ同じであることがわかる。多くの会社では、【役職×在任年数(その役職に勤務した年数)】の総和に、単価を掛けたもので、退職金を算出しているからである。
日本の会社の評価は、多かれ少なかれ、このような序列の高さと勤務する長さによって評価する仕組みを持っている。特に働かないオジサンの多くいる職場はそうであろう。
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