大人の会話ができない人は流れがわかってない 自分のことにとらわれず相手を想いやろう

拡大
縮小

なお、会話の忖度力は差し向かいでの会話だけではなく、メールやSNSなどでも発揮されるものだという。

「もういい加減終わりにしたいのに、相手から疑問系のコメントが来るのでLINEの会話がやめられない」

「前のメールに書いておいたのに、同じことをまたメールで問い合わせてきた」

「何度もやんわりと都合が悪いことを伝えているのに、会いたくないと思っていることをわかってもらえない」

というように、空気の読めない会話はメールやSNSでも多く生じるものだからだ。確かに誰しも、こうした思いを抱いた経験はあるのではないだろうか。

互いに配慮しながらやり取りを楽しむのが大人の会話

宴会なら、相手の忖度力に乗っかって楽をしてもいいかもしれない。だが、会話となるとそうもいかないものだ。相手がこちらの気持ちを察してくれたら、こちらも相手の気持ちを推し量ることが大切。お互いに思いやりを持つのが、大人の会話のマナーだというわけである。

『気の利く大人のひと言目』(書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします)

口下手で悩んでいる人に対して、「正直であることがいちばん」だとアドバイスする人もいる。確かに正直であることは、人から信頼を得る際にも重要なポイントとなるはずだ、しかし、大人の会話において、正直は必ずしも美徳ではないと著者は指摘している。

すなわち相手を傷つけないためには、言葉を選ぶことも必要だという考え方。気の利いたひと言目によってまずは水を流し、あとは流れに身を任せつつも、相手を思いやった言葉でリアクションしていくのが望ましい。

互いに配慮し合いながら、言葉のやり取りを楽しむのが大人の会話。とりわけビジネスシーンにおいては、そのようなスタンスが重要な意味を持ちそうだ。

印南 敦史 作家、書評家

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

いんなみ あつし / Atsushi Innami

1962年生まれ。東京都出身。広告代理店勤務時代にライターとして活動開始。「ライフハッカー[日本版]」「ニューズウィーク日本版」「WEBRONZA」「WANI BOOKOUT」などで連載を持つほか、「ダ・ヴィンチ」など紙媒体にも寄稿。『遅読家のための読書術――情報洪水でも疲れない「フロー・リーディング」の習慣』(ダイヤモンド社)、『世界一やさしい読書習慣定着メソッド』(大和書房)、『人と会っても疲れない コミュ障のための聴き方・話し方』(日本実業出版社)、『読んでも読んでも忘れてしまう人のための読書術』(星海社新書)など著作多数。

この著者の記事一覧はこちら
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT