これから世界経済はどうなるのか。私が当初から考えていたメインシナリオは、次のようなものでした。
アメリカの景気は2019年から大幅に減速し、2020年には後退に陥る。その結果、世界経済は1年~1年半程度の同時不況に陥るだろう。したがって、次の世界的な景気後退の局面ではリーマンショックのような危機は起こらないだろう……と、この連載や他の媒体でも申し上げてきました。
米中がこぞって金融緩和に舵を切り出した
そうしたシナリオは、中国が金融引き締めによって民間の債務削減を進めると同時に、アメリカは金融政策の正常化によって採算の悪い投融資を改めさせるという環境を前提にしていました。
ところが今では、中国が景気の減速を回避するために金融引き締めから緩和へ転換したばかりか、アメリカまでもが株価急落への対応を優先するため金融引き締めを凍結しているのです。
目下のところ、中国は何とか景気を下支えしようとして、大幅な金融緩和や公共投資の増額、個人・企業への減税と、大盤振る舞いに走っています。中国国家統計局は2018年の経済成長率を6.6%と公表しているものの、日米企業の中国での販売の落ち込みを考えると、ある研究機関の内部調査が示した1.7%という数字のほうが信頼性は高いといわれています。だからこそ習近平指導部は目先のことを優先せざるをえなくなったのでしょう。
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