国民生活の実感と乖離する「GDP」のまやかし

米景気「戦後最高」期に史上最悪の格差拡大

2000年以降、アメリカのGDPは40%も伸びたが、貧困は深刻化している。写真は慈善活動をするメラニア・トランプ大統領夫人(写真:UPI/アフロ)

マクロ経済学で最も重要な指標は「GDP(国内総生産)」といわれています。しかし、本当にそのような認識のままでよいのでしょうか。なぜ、そのような疑問を呈するのかといえば、2000年以降の経済データを子細に見ると、

「GDPが増加する」=「国民が豊かになる」

という方程式が、もはや成り立たなくなっているからです。

GDP上昇にもかかわらず、国民生活が悪化したアメリカ

その典型例が、多くの経済学者が模範とするアメリカです。経済と物価の優等生といわれるアメリカでは、2000年以降、GDPと消費者物価の双方が40%超も上昇しているにもかかわらず、庶民と呼ばれる人々の生活はむしろ悪化してしまっているのです。

この連載の記事はこちら

というのも、アメリカの1世帯当たりの2017年の実質所得(中央値)が2000年より低い水準にとどまっている状況下で、2000年以降とりわけ物価上昇が激しかったのは、主としてガソリン、電気、食料などといった生活に欠かせないモノばかりだったからです。消費者物価の上昇率を大きく超えて、生活に必要不可欠なモノの価格が上昇してしまったのです。

そうなると、普通の生活を送る人々の感覚からすれば、実質所得は公表されている数字よりもずっと低くなります。体感的な実質所得は統計上の実質所得と比べて、1~2割程度は落ちていたと考えるのが妥当はないでしょうか(2018年4月19日配信の「アメリカ人の生活が日本人よりも苦しい理由」参照)。

次ページなぜアメリカ国民は「生活が苦しい」と感じなかったのか?
政治・経済の人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 逆境からの人々
  • 西村直人の乗り物見聞録
  • 新競馬好きエコノミストの市場深読み劇場
  • 仲人はミタ-婚活現場からのリアルボイス-
トレンドライブラリーAD
人気の動画
スバリスト、トヨタ購入者とまったく異なる嗜好
スバリスト、トヨタ購入者とまったく異なる嗜好
築40年超「老朽マンション」丸ごと建て替えの大問題
築40年超「老朽マンション」丸ごと建て替えの大問題
「料理が突然、上手になる」たった1つの簡単秘訣
「料理が突然、上手になる」たった1つの簡単秘訣
実家が迷惑施設化「7戸に1戸空き家」日本の大問題
実家が迷惑施設化「7戸に1戸空き家」日本の大問題
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
持たざる国・日本に大激震<br>エネルギー危機が来る

脱炭素の移行期に化石燃料の争奪戦が勃発。天然ガスの価格は歴史的な急騰を記録しました。余波はサプライチェーンの混乱から世界経済の後退懸念、原発待望論まで広がります。資源小国の日本が生き残る道はあるのでしょうか。

東洋経済education×ICT