イギリス「EU離脱」はなぜこうももめているのか

今さら聞けないブレグジットの功罪

ブレグジットはなぜこうももめているのだろうか(写真:Toby Melville/Reuters)
イギリスの欧州連合(EU)離脱が先行きの見えない状況に陥っている。国民投票でEU離脱派が勝利してから3年弱。なぜ今になっても、離脱をめぐる混乱は収まらないのか。『マンガみたいにすらすら読める経済史入門』の著者で、代々木ゼミナール講師の蔭山克秀氏が解説する。

イギリスでEU残留の是非を問う国民投票が実施され、「残留派48.1%/離脱派51.9%」の超僅差で、離脱派が勝利したのは、2016年6月。思えばイギリスは、最初から欧州統合の「濃すぎる地域主義」を嫌っていたふしがある。統合初期にはEEC(欧州経済共同体)よりもEFTA(欧州自由貿易連合。自由貿易だけの結びつき)を選び、EC時代にはシェンゲン協定(パスポートなく域内を自由に移動できる協定)に入らず、現在のEUでも、ユーロを導入せずポンドを使い続けている。

一方、同じアングロサクソンのアメリカとは「特別な関係」(ウィンストン・チャーチルの言)を強調し、親密さをアピールする。だから欧州統合は「ドイツとフランスが中心。イギリスは消極的」が、つねに基本スタンスだった。

そのイギリスのEU離脱劇が、今回の「ブレグジット(Brexit)」だ。ではイギリスは、ここにいったい何を求めたのか?

最初の離脱案は相当「上から目線」だった

EUとの離脱交渉でいちばん最初に求めた内容から、その辺を探ってみよう。正式に離脱通知を提出した2017年3月29日、イギリスは、要約すると以下のような内容の申し出をした。

「われわれは単一市場からは抜けますが、イギリス―EU間でFTA(自由貿易協定)を結べば、互いの利益は従来どおり確保されると思います。だからこれからも“深く特別な関係”でいましょう。もしこの申し出が無理なら、今後は残念ながら、テロ対策や安全保障での協力もできなくなると思います」

これは相当「上から目線」だ。EUから抜けることで、細かい法規制や分担金、移民・難民の受け入れといった“負債”からは解放されるくせに、メリットだけはFTAで従来どおり得られる。完全に「おいしいとこ取り」だ。しかも末尾には、軽い脅しまで入っている。EU首脳陣は当然怒り、ここから離脱交渉は難航する。

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